2026年1月27日(火)

トランプ2.0

2026年1月27日

 まず、「史上最高の経済を築き上げた」とした部分については、正確には、それ以前の09年6月以来、コロナ危機の影響で不況に転じるまでの128カ月という米国史上最長の経済拡大が続いていたことが知られており、トランプ政権1期だけの実績ではまったくない。むしろ、トランプ氏就任前の8年間のオバマ政権当時の貢献が大きい。

 雇用についても、オバマ政権当時以来、持続的に拡大傾向にあったが、コロナ危機直前には、減少に転じた。逆に失業率は20年2月に、過去50年来の記録となる3.5%も上昇。そしてコロナ危機が深刻化した同年4月には、14.7%という最悪事態となった。「過去50年来、最低の失業率」はまったくの捏造だ。

 政権末期には失業率は6.7%にまで改善されたが、16年就任当初の4.8%と比較しても、悪化は否めない。

 経済誌「Economist」は総括して、「富裕層優遇の大幅減税により貧富の差を拡大させ、大規模財政性出動で国家収支バランスを悪化させ、国内総生産(GDP)は縮小し、製造業復活の約束も果たせなかった」と断じている。

 外交面でも目ぼしい成果はなく、むしろ①気候変動枠組み条約「パリ協定」離脱②世界貿易機関(WTO)への批判と挑戦③世界保健機関(WHO)からの離脱④環太平洋パートナーシップ協定(TTP)からの完全離脱⑤北大西洋条約機構(NATO)への関与縮小と脱退示唆――など、多国間取り決めの軽視姿勢に彩られ、「米国第一主義」を鮮明にした。

 その一方で、二国間の首脳外交に意欲を見せ、ロシアのプーチン大統領、北朝鮮の金正恩総書記らとの複数回にわたる直接会談での外交成果を狙ったが、国際緊張緩和につながる進展は何ら見られなかった。結果的に、世界における米国のプレゼンスは縮小し、各国との混乱を拡大させた。

第二次政権時も失業率は悪化

 昨年1月スタートした2期目については、1年を経過したばかりであり、実績を総括できる段階ではない。しかし、政権の目指す方向性は1期目とは大差なく、政策実行面ではむしろ大胆さがより目立っている。

 まず、経済・通商面では、「米国第一主義」の本命ともいうべき諸外国向け高関税政策を打ち出した結果、2025会計年度収支バランスは 2020億ドルもの記録的関税収入増の恩恵を受け、支出7兆ドルに対し収入は5兆2000億ドルまで拡大、一定の改善は見られた。

 ただ、関税の影響による国内物価上昇にスライドして調整された社会保障給付金も増加するなど、依然として財政赤字の累積にブレーキをかけるめどは立っていない。

 失業率も、トランプ大統領就任当初の演説で「歴史的雇用増大」を約束したにもかかわらず、改善どころか、悪化している。労働省労働統計局が発表した昨年1月当時の失業率は4.0%だったが、9月に4.4%、そして11月には4.6%と、21年以来、最悪を記録した。

 この結果、国民の景気に対する受け止め方を最も正確に反映した指標として知られるミシガン大学の「消費者景況感インデックス」をみても、昨年1月に「72ポイント」だったのが、その後、「50ポイント台」に落ち始め、今年1月やや持ち直したものの「54ポイント」にとどまっている。


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