クオリティ面では「偉大」なのか?
米国が「偉大さ」と逆コースをたどりつつあるのは、上記のような外交・通商面に限ったことではない。真の意味での「偉大さ」を論じるには、経済力、軍事力といった数量化されたパワーのみならず、好感度や尊敬度、説得力、国家としての結束力などのクオリティ面も考慮の対象にする必要がある。
そこで、世界の対米「好感度」を例にとると、昨年1月トランプ政権発足以来、大きく後退している事実が浮かび上がって来た。
国際世論調査機関として定評のある「Pew Research Center」が毎年実施してきた調査結果のうち、25年6月公表のデータ(調査対象国24国、3万人)によると、「米国に好感を持つ」と回答した人は、バイデン政権当時の2024年度データから31%も悪化し、全体の45%にとどまっていることがわかった。
さらにこれを国別に見ると、「好感できない」と回答した国はスウェーデンで79%、 オーストラリア72%、 オランダ69%、ドイツ66%、 カナダ63%など、過半数を大きく上回っており、半数以下は、日本の44%など一部の国に過ぎなかった。逆に「好感度」については、スウェーデン28%, メキシコ32%、カナダ20%、ドイツ16%などとそれぞれ前年度比で下落しており、日本でも15%減少している。
また、デンマークに本拠を置く非営利団体「民主主義同盟財団」が毎年発表している「民主主義認識指数(Democracy Perception Index)」2025年度版(調査対象100カ国以上、回答者11万人以上)によると、米国は一昨年のバイデン政権時の「プラス22%」から大きく後退し、「マイナス5%」へと転落した。減少幅は76%にも達した。
対照的に、中国に対する評価は前年の「プラス5%」から「プラス14%」と上昇しており、特にアジア、中東、北アフリカ地域での評価の高まりが目立つ。中国の場合、大経済圏構想「一帯一路」による対外コミットメント拡大の効果をある程度反映しているとも言える。トランプ政権下の「米国第一主義」とのコントラストが浮き彫りになった形だ。
さらに、「偉大さ」評価については、国としての「インテグリティ」(統合性)も重要な尺度になる。だが、米国の場合、トランプ政権が不法移民対策の一環として、国内各都市で移民を拘束、尋問を強化させ、その多くを国外退去させたうえ、昨年1年間だけで10万人以上の査証(ビザ)を取り消したほか、野党民主党系の政治家や官僚ら“政敵”を報復の対象として摘発に乗り出すなど、社会の分断は深まるばかりだ。
国民の結束が危殆に瀕しつつあるのに、「偉大なアメリカ」の実現を唱導するのは、矛盾以外の何物でもない。
結論として、米国は世界から見て、第一次トランプ政権の4年間に「萎縮した存在」への転身プロセスが始まり、第二次政権でさらにそれを加速させつつあるのである。言い換えれば、「Make America Great Again」は、「Make America Small Again」ということになる。
