2026年1月27日(火)

トランプ2.0

2026年1月27日

 一方で、株価指数だけは、AIブームに乗って上昇傾向にあるものの、富裕層と中低所得者層とのギャップは拡大しつつある。

「米国第一主義」が失ったもの

 外交に目を転じると、最大の特徴は、昨年12月公表された対外戦略の指針「国家安全保障戦略」(NSS)に象徴される「米国第一主義」の徹底であり、“米国の庭”と位置付ける西半球を最重要視した外交政策だ。言い換えると、グローバル・コミットメントの放棄以外の何物でもない。

 この点について、著名外交評論家でテレビ・コメンテーターのファリード・ザカリア氏は昨年12月、「ワシントン・ポスト紙」ゲスト・コラムで、「トランプ・ドクトリン」を「MAGA」ならぬ“Make America Small Again”だと揶揄し、以下のように論じている:

 「米国は過去何十年にもわたり、自らの国益を世界と結び付け、グローバリズムを推進し、世界の機関・組織を受け入れ、グローバルな責任を果たしてきた。ところが、トランプ政権は新たな『国家安全保障戦略』を打ち出し、世界との関係を打ち壊した。同政権の新たなスローガンを一言で言い表すとすれば、“Make America Small Again”である。

 その意図するところは、欧州およびアジアにおけるいくつかの利益を見放す代わりに、自らの近隣圏すなわち西半球に関心を優先的に集中させるというものであり、一見したところ、理にかなっていそうだが、実はそうではない。米国は過去数十年の間に成長を拡大し、今や史上最強国となっている。しかしそれは、米国企業およびテクノロジーの世界制覇によるものであり、そのことを無視し関心を自らの”裏庭“にだけ限定することは、米国自身そして世界への大規模な影響を及ぼしかねない。

 あらたなトランプ・ドクトリンは、1823年にモンロー大統領の戦略を模したものだが、そもそも当時の米国は、人口わずか1000万人の24州からなる小さな農業国であり、世界GDPのたった2.6%しかなかった。軍事力も強大とはいえず、世界のトップ15位以下に過ぎなかった。

 しかし、今日、巨大な世界国家である米国がその関心を一地域、しかも経済的にも取るに足らない”裏庭”に集中させようとする考えほど愚かなことはない。それは、欧州連合との2024年度の貿易総額が1兆5000億ドル、アジアとの貿易総額が2兆ドルを超えているのに対し、ラテン・アメリカとは4500億ドルにとどまっていることを見れば明白だ。

 今日の世界状況は、1920年代に酷似しており、当時、米国が孤立主義に陥ったことで国際システムの崩壊を招き、第二次世界大戦につながった。もし、今また米国が世界に背を向け“裏庭”に引きこもるとすれば、それによって生じた国際的空白を責任感のより欠落した他の諸国が埋め合わせることになり、再び悪夢を呼び戻すことになりかねない」


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