増税と金融引き締めで経済はどう変わる?
大きな括りで言うと、与党が積極財政と金融緩和の継続、中道と共産が財政規律と金融引締めを求めている。金融引き締めで物価上昇が収まるかもしれないが、さらにデフレに戻るリスクもある。昨年の物価上昇率のうち0.6%はコメ不足によるものだが、金融を引き締めてもコメ不足は解決できない。
財政については、減税して財政赤字を作るのと、法人税を増税して財政赤字をゼロにするのとどちらが良いだろうか。消費税を5%にすると15兆円ほどの減税となり、国内総生産(GDP) 2%ほどの減税である。
内閣府のマクロ計量モデル(酒巻哲郎他「短期日本経済マクロ計量モデル(2022 年版)の構造と乗数分析」ESRI Research Note No.72、December 2022)によると、法人税をGDPの2%分増税すると、実質GDPは1.4%減少するという。しかも、これは需要面だけの効果で、生産性の向上やイノベーションなど長期的な効果は入っていない。
ただし、消費税を下げれば消費が活性化されてGDPも増える訳で、内閣府のモデルによると消費税を5%ポイント引き下げるとGDPは1%増加するという。つまり、長期的な効果を無視すれば、法人税のマイナスは0.4%(1.4-1)だけになる。
一方、財政赤字が2%増えると実質GDPはどれだけ減るだろうか。マクロ計量モデルにはそういう分析はないのだが、21年度から25年度まで毎年GDPの1%ポイントずつ財政赤字が減っている(前掲「財政関係資料」12頁)。ところが、実質GDPの成長率は1%弱のままで動いていない。つまり、財政赤字が改善してもGDP成長率は高まらないのだから、悪化しても低くならないのではないか。
野党は、さらに金融を引き締めると言っている。同じマクロ計量モデルによると、短期金利を0.5%引き上げると実質GDPは0.5%程度低下するという。法人税増税と金利の引上げで実質GDPの成長率は0.9%(0.4+0.5)低下することになる。これは明らかな不況だから物価は下がるだろう。しかし、景気が悪くなって物価が下がっても国民は喜ばないのではないか。
野党が政権を獲得できるかどうかは、経済政策が分けることにもなりそうだ。その後の政権担当能力を示すためにも、様々な経済政策の結果、物価、GDP、雇用がどうなるかをもっと考え、政策に示す必要があるのではないか。
