2012年にもこの赤字国債をかさねる期限延長の法律がなかなか通らず、地方交付税の交付が一部遅れたことがあった。財政力の弱い自治体の不安は尽きない。地方創生という言葉はどこかに行ってしまったようだが、これ以上地方が疲弊して強い経済が成り立つのだろうか。
国の予算が成立だけでは解決しない
4月に入って国の予算が成立したとする。だからといってすぐに自治体が予算を執行できるわけではない。自治体は改めて予算を編成して議会の審議と議決を経て、必要なら関連条例を整備して、細目を決めてからでないと執行できない。
しかも国が予算を成立させても、関連する国の法律、必要な政令や省令、事業によっては自治体に対する通達等が出されたり説明会が開かれたりしないと執行できないものもある。
コロナ禍の時、国が新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した世帯への対策として行った「生活福祉資金(特例貸付)」について、スピード感重視の掛け声のもと、自治体に対して予算成立前から準備を要請し、各自治体もそれぞれの社会福祉協議会に職員を派遣したり外部民間事業者に対して委託したりと人海戦術によって事業を執行した。
国にとってはこれで終わった話だろうが、各自治体では今日でもその後始末に追われている。全国で約382万件、総額約1兆4431億円という、過去に類を見ない巨大な規模の貸付が行われたのである。
今は返済が始まっているが、滞納や返済免除の申請が相次いでいる。全国の社会福祉協議会では1件1件、未返済者への督促や相談対応を行っている。貸付を受けた世帯の多くが今なお経済的に困窮しているので、貸付金の返済免除手続き等の案内や指導に追われている。
小規模な社会福祉協議会ではこの後始末のため本来業務がおろそかになっているのではないかと心配になるくらい、今日に至るまで手間がかかっている。国は、政策を決定した後、自治体に何年も継続する重い負担について十分に思いをめぐらすべきである。
今回の突然の総選挙と暫定予算により、地方自治体は確実に疲弊し、しこりも残しかねない。地方自治や地方創生が弱くなる一方で強い国家が成り立つのだろうか。

