2026年2月2日(月)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2026年2月2日

 であるならば、多くの実務をAIが担当する時代となる以上、人間にはこの能力への期待が高まる。この利害対立の局面におけるコミュニケーション能力というのは、これからの人材の見極めにおいて重要な観点となろう。

価値観、世界観を持っているか

 3点目は価値観、世界観の部分である。AIは高度化し、進化しつつあるとは言え、壮大な量的分析により「与えられたデータに対する平均値の追求」しかできない。量的判断を超える、世界観、価値観の部分というのは、人間が担っていかねばならない。以前は上位の管理職や経営陣にのみ求められていたこうした「観」の部分が、今後はより重大となってくるであろう。

 世界観、価値観の部分、つまり抽象度の高い原理原則をどう操作するかというのは、資質や感性の問題だという人が多いがそうではない。これもまた、人類の叡智という経験則と理論化と言語化を通じて得られるスキルであって、一部ではなく万人に求めて良い能力である。そして、AI時代の人間が「AIを使う側」であり続けるためには欠かすことができない。

 万人に期待できる能力ではあるが、大学生ともなればそうしたスキルが備わっているかは、個々人で大きな差が出てくる。見極める方法はあり、筆記でも面接でも確かな手応えを得つつ判定することはできるはずだ。反対にそうした人材の見極めのできる企業だけがAI時代には生き残っていくと言うべきだ。

 AI時代のインパクトは幅広く深い。人間とは何かという定義すら揺さぶってくるような変革であり、個々の企業に与える影響は計り知れない。一刻も早く、AI時代へ向けて人材観を総見直しして、採用選考を抜本的に改めるべきだ。似たような内容のエントリーシートを前にして呆然としているようでは問題外である。

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