衆院解散総選挙との関連
ウォーシュ氏については、FRB議長に就任するには議会上院の承認が必要であり、現時点では前任者のパウエル氏を擁護する動きがあるなど、スンナリとは行きそうもない。けれども、遅かれ早かれ指名されて就任となると考えていいだろう。では、ウォーシュ氏のFRBは、日本にどのような影響を与えるであろうか?
この点については、何よりも今回の総選挙の結果とリンクして考える必要がある。今回の総選挙に当たって、高市早苗首相は2つの矛盾した状況の中に置かれていた。
1つは、政治家として減税を望む民意や、財政出動を望む地方や財界の期待を背負っているということ。もう1つは、いわゆる「高市トレード」、つまり日本株は上昇する一方で、財政の悪化懸念を材料に円は売られて下がり、また超長期国債の金利は危険水域にまで上昇という状態であった。
そんな中で、高市首相は解散を決断した。そこには高い支持率を使って議席増を狙うという計算もあったであろう。けれどもその奥には総選挙を行って政権基盤を強固にし、その上で国際市場に対して、過度の円安や債券安を是正してもらうという意図、あるいは計算もあったに違いない。そうでなくては国債費が膨張して予算が組めないし、超円安なら物価上昇、超円高なら企業決算と株価の崩壊を招くからだ。
つまり、高市氏としては2月の厳寒の中「にもかかわらず」解散したのではなく、2月という予算審議と企業決算の直前「だからこそ」解散して民意を確認して、国際市場に対して存在感を見せようとした、そう考えられる。
結果的に、選挙後の市場は理想的な推移を見せた。円安はほぼ止まり、むしろわずかに円高に振れた。債券の金利も鎮静化している。そして、日本株は経済成長への期待から大きく上げた。言い換えれば、ドルベースでも日本株が上がったわけで、これ以上の展開はないとすら言える。
日米連携の可能性
では、このような展開は、アメリカなど国際市場が高市首相を評価し、選挙結果を歓迎したからかというと、これはその通りであると思う。けれども、純粋に市場の自然な思惑で動いただけでは、ここまで綺麗な走者一掃ヒットにはならないであろう。以降は想像になるが、日本の財務当局と次期FRB議長のウォーシュ氏を含むFRB・財務省の間で、相当にキメの細かいコミュニケーションが行われた可能性がある。
ウォーシュ氏はポピュリズム政治の勢いを現実、つまり政治と経済を動かす要素として認めるリアリストであり、トランプ氏や支持者の持っている感触には反抗しないであろう。けれども、同時に現状を楽観視しているとは考えにくく、米国の金融システムの防衛、そしてインフレの抑止には相当な覚悟を持っていると考えられる。
そこで予想されるのが、利下げはするがドルは防衛するという姿勢であり、だからこそ過剰に反応した市場は金を売り浴びせた。これを受けて、多くの機関投資家は自動的に暗号資産も換金に動き、こちらも暴落をした。
