チャレンジャーの例がそうであったように、米国の政治経済に今蓄積されつつあるひび割れが爆発を生じることもあり得る。米国のビジネス・金融は資本主義の予測可能でルールに基づく形態を背景に繁栄して来た。信頼性の喪失はいずれ政治的・経済的コストをもたらしかねない。
2014年にNASAは逸脱の正常化に対抗するため、理にかなった措置が示された。しかし、実は今必要とされているのはもっと簡単なことだ。
CEO達はグリフィンの範に従うべきである。とりわけ、現下の雰囲気が如何に逸脱したものになっているかを認識し、声を大にしてそれに挑戦するべきである。もちろん、そうすることの道徳的要請がある。
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UAEとの取引
この論説はトランプ政権の下で起きている深刻な問題の一つを取り上げている。ワシントンで起きている「逸脱の正常化」がそれだとして警告を発している。ちょっとしたペテンで不正に金銭を得る行為がトランプ政権で横行している。その例は、最近明るみに出たUAEとの取引である。
1月31日付ウォールストリート・ジャーナルによれば、昨年、トランプの就任の4日前に、UAE大統領の弟のタヌーン・ビン・ザイード(安全保障担当補佐官)がトランプ一族の暗号資産ベンチャー株式の49%を5億ドルで取得する取引が成立した。署名したのはトランプの子息のエリック・トランプだった。
その後、見返りにトランプ政権はUAEに年間50万個のAIデータセンター向け最先端チップの輸出を約束した。バイデン政権は技術流出を怖れてこの輸出に消極的だった模様である。
この種の「self-dealing」がトランプ政権では臆面もなく行われているらしい。トランプの行動には、ウクライナの鉱物資源、ベネズエラの石油、ガザのリゾート等、金銭的利益の影がつきまとうが、蓋を開ければ利益の一部はトランプ一族や取り巻きに流れることになっているのかもしれない。
