また、「区内の分譲マンションの売られた部屋の登記簿を調べたところ、マンションの持ち主と一致しないのが7割もあり、居住実態のないマンションがあった。中でも再開発事業等に絡むマンションは、容積率の緩和など優遇措置を受けているので、公益的な意味合いもあり、行政としてそうしたマンションの短期取引による転売を抑制する必要があると考えた。そこで、不動産協会に対して、再開発に絡むマンションに限定して、購入してから5年間の転売抑制と、複数戸の購入の禁止を要請した。この要請は公益性があるため、行政の行き過ぎには当たらない」と述べる。
樋口区長は「今年の春からは、区内にある約3760戸の空き家の実態を調査して、必要があれば修理の補助金を区が出すなどして、空き家を住宅市場に出すことで供給を増やせないかと考えている」と千代田区としてできるさらなる対策を取ろうとしている。
「転売規制」
特約を付けて販売
大手デベロッパーも投機取引対策を講じてきた。住友不動産は転売対策として、24年11月に完成した「シティタワーズ板橋大山」(板橋区、25階建て・ノースタワー、26階建て・サウスタワー)と今年2月に完成予定の「グランドシティタワー池袋」(豊島区、52階建て)の2物件に、引き渡し後5年間の転売禁止条項を付けて販売した。どれも東京都の再開発に関連したタワーマンションで、同社は今後の対応については、不動産協会の発表した取り組みも踏まえて、個別判断するという。
昨年11月25日には国土交通省が、新築マンションの短期売買や国外からの取得に関する調査結果を公表するとともに、不動産協会がマンションの投機的取引に対して、抑制する方針を打ち出した。
国交省としてはこうした調査は初めてで、都市圏を中心とした取引実態を把握するために行った。その結果は、登記してから1年以内に売買した短期取引の割合(保存登記期間・24年1~6月)は、東京23区を中心に川崎市、神戸市などでその割合が高い。
短期売買の比率は全体的には予想されていたほど高くはなかったものの、1億円以上の億ションの売買が当たり前となった東京都心部では売買益を狙った短期売買は増加傾向にある。
心配されていた「国外からの取得割合」(25年1~6月)も、東京都が3.0%、東京圏が1.9%だった。この数字は予想していたものより低く、外国人が高額物件を買い占めているというほどの実態はないようだ。
これを受けて、国交省は「実態を把握したうえでその結果を踏まえて対応する。まずは実態把握を継続しつつ、不動産協会会員各社の対策の効果を見定めたい」(国交省住宅局の野口知希住宅戦略官付住宅産業適正化調整官)という。
マンションを買ってから5年以内に売却した場合に課税される短期譲渡益課税の税率は現在39.63%だが、これを引き上げれば、短期取引に対しては確実にブレーキ役となるが、国交省は不動産取引や資産価値への影響など様々な観点を考慮する必要があり、難しい課題と捉えているという。

