ハマスの警察官1万人を新体制下に組み込むことを目論むハマス
トランプ氏は今回、ガザは「もはや過激主義とテロの温床ではない」と述べた。これは、実はイスラエルや国際社会だけではなく、多くのガザ市民自身らが望むことでもある。ハマス=ガザ市民の総意として見られることに拒否反応を示す市民は少なくなく、むしろそのロジックはイスラエル側がガザを攻撃する口実に都合良く利用されてきたのも事実だ。戦争のない平和な暮らしを求めるガザ市民にとって、復興の道筋に向けた指揮を誰が取るのかは、極めて重要な問題だ。
ハマスは表向きには、ガザ出身の元パレスチナ自治政府高官のアリ・シャース氏が率いるパレスチナ人実務者からなる組織、「ガザ行政国家委員会(NCAG)」に統治権を引き継ぐ準備ができていると主張している。
一方で、ハマス傘下の警察官約1万人を暫定統治下の新たな部隊に組み込もうとする動きも報じられており、その中には警察と統合された強力な内部治安部隊の数百人のメンバーが含まれているとされている。現在、これらの警察官や治安部隊は、ハマスが事実上支配する地域を巡回・監視する役割を担い、現地で再び掌握力を誇示している。
そもそも、2006年以降選挙の行われていないガザでは、ハマスが約20年間に渡って支配を続けてきたため、ハマス以外に治安を担える人材をすぐに確保出来るのかという問題もある。しかし、武力が残存することへの警戒から、ハマスの影響力排除を目指す米国とイスラエル双方は、厳格な審査なしにハマスの警察や治安部隊から、新統治下の人材が選ばれるべきではないとの立場だ。戦後のガザ統治を巡る「ハマス後のトランプ和平案」という理想と、現場で着々と支配を再構築しているハマスとの間の深い乖離が浮き彫りになる。
BBCなどによるとハマスは現在、新たな最高指導者選出に向けた準備を実施していると報じられている。長引く戦争でガザ内部における政治情勢が不安定化するなか、新指導者の選出は、トランプ和平案や国際安定化部隊の動きに対してハマス側が今後どう向き合うかが垣間見えてくる重要な鍵となるだろう。
