2026年2月27日(金)

トランプ2.0

2026年2月27日

 また、ミネソタで移民・関税捜査局(ICE)に殺害された2人のアメリカ人にも一切触れないで、自らの移民政策について誇らしげに「アメリカ人と開かれた国境の間に立っているのは今やドナルド・J・トランプ大統領と我々の議会に居る偉大な愛国的共和党員だけだ」と述べると、オマール下院議員は、「あなたはアメリカ人を2人殺害した」と4回連呼したし、タリーブも殺害されたうちの一人であるアレックス・プレッティについて「アレックスは犯罪者じゃない」と叫んだ。

「人民の一般教書」

 とはいえ以上のような場面を除けば、昨年に比べると不規則発言や抗議行動が大きく減っていたが、それには理由があった。今年はトランプ政権の政策に強く反対する民主党議員数十名が欠席していたのである。

 では欠席した議員たちはどこで何をしていたのだろうか。その一部は、議会からほど近いナショナルモールと呼ばれる芝生に集まって、「人民の一般教書」という集会を開いていた。

欠席した議員らとトランプ政権の反対派が集まって行われた「人民の一般教書」(Jemal Countess /gettyimages)

 一般教書演説開始の1時間ほど前から始まったこの集会の企画者は、「一般教書演説は、今日のこの国で実際に起きていることとは似ても似つかないものとなるだろう」からだと集会の理由を説明した。マーフィー、バン・ホレン、シフといった上院議員、カザールやリーと言った下院議員ら、一般教書演説を欠席した議員たちが演壇に立って政権批判を繰り広げると、「ICEを潰せ」、「すべての(エプスタイン)ファイルを出せ」「団結した人民は決して打ち負かされない」などとの唱和が起きた。

 一方、議事堂の中では、大方の予想通り、トランプの独演会が続いており、トランプがしゃべるたびに、議事堂のおよそ半分を占める共和党議員らが立って拍手し、民主党議員たちは座ったままという状態が続いていた。ただ、時折登場する、軍の英雄やオリンピックのゴールドメダリストが登場して讃えられた時には全体から拍手が沸いていた。

関税違憲判決の後の〝態度〟

 ある意味想定内とも言える演説であったが、予想外のこともあった。最高裁判事たちに対するトランプの態度である。

 2月20日に最高裁は、トランプの主要政策の一つである関税について大統領にそのような権限はないと違憲判決を下したばかりである。自信をもって進めている根幹政策を止められたトランプは判決直後に、「わが国にとっての恥」、「非常に非愛国的であり、憲法に対する不忠」などと判事を激しく非難していた。

 一般教書演説にはその最高裁判事たちも招待されており、その多くが出席するのが通例となっている。関税に対する違憲判断に賛成した判事と、判決以来初めて顔を合わせる機会であり、トランプの対応が注目されていた。いつもの彼であれば、全米が注目する中で罵詈雑言を浴びせかけて批判するのではと思われたのである。


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