トランプは、大統領に復帰して以来世界的な鉱物資源への野心を隠さず、2025年初頭から、鉱物資源がウクライナ、カナダ、グリーンランドに対する政策を混乱させる原因となり、各国は鉱物資源能力を強調した取引でトランプに接近しようとした。トランプ政権はまた、鉱物資源の争奪戦をAIへの野望と連携させており、国務省は初の「パックス・シリカ」サミットを最近開催した。
トランプ政権の強硬な貿易戦争によって多くの国がなお打撃を受ける中、鉱物分野は、米国と世界各国との間で数少ない協力領域として浮上している。
閣僚会議の数日前にトランプは、市場の混乱やその他の供給ショックから米国製造業を守ることを目的とした、120億ドル規模の重要鉱物備蓄プロジェクトを発表した。「プロジェクト・ヴォールト」と呼ばれるこの取り組みは、米国輸出入銀行からの100億ドルの直接融資と、民間資金による約16億7000万ドルによって賄われる。
こうした動きは、トランプが国家資本主義を信奉し、鉱物資源分野の民間企業の株式を次々と取得している中で起こっている。これらの企業は、中国の優位性を考えると、世界市場で競争するにはトランプ政権の支援が不可欠だと述べている。この分野に経験の深い企業家は、中国は30年以上もの間、鉱山から磁石やバッテリーに至るまでのサプライチェーンに補助金を出し続けており、競争できる唯一の方法は官民パートナーシップだと述べた。
しかし、迅速な解決策はなく、トランプの最新の取り組みの詳細は依然として不透明だ。業界アナリストは、世界の鉱山開発の平均期間は15年であることを考えると、新たなサプライチェーンの構築には数年、場合によっては数十年かかると強調している。
中国は、サプライチェーン上の重要な原材料のほとんど、あるいは全てを文字通り支配するまでに一世代を要した。トランプの任期中にこの問題が解決することはないとしても、正しい方向に進んでいるとはいえよう。
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重要な不参加の存在
中国はレアアースの世界生産の70%を占めており、その他の重要鉱物の資産シェアも大きく、また、南米やアフリカ等で当該分野への投資も進めている。特に、レアアースの市場支配力は昨年の米中貿易交渉で大きな力を発揮し、トランプ政権が譲歩せざるを得ない原因となった。
このような状況を打開すべく、米国は、同盟国やパートナー国に働きかけて、2月4日、54の国と地域(EU)が参加する「重要鉱物閣僚会議」を開催した。この会議では、米国が、参加国間で重要鉱物の最低価格制度やそのための関税措置を導入し、鉱物資源開発のための投資資金へのアクセスを確保する「重要鉱物貿易圏」の形成を提案し、今後具体的な取り組みを推進するためのフォーラム( Forum on Resource, Geostrategic Engagement:FORGE)を発足させ、韓国が当面の議長を務めることなった。
また、米国はこれらのイニシアティブを二国間ベースで実行するための、メキシコとの行動計画及び米、日、EU間の共同声明を発表し、更にこのイニシアティブの他の参加国との間での実施枠組み又は覚書に署名することとされている。
トランプは、価格調整を実施するための裏付けとなる、重要鉱物備蓄のための官民の120億ドル規模の資金を動員(プロジェクト・ヴォールト)し、また、鉱業、精製、加工、最終用途に関連する投資を促進するための民間セクターとのパートナーシップを強化している。
