2026年3月7日(土)

トランプ2.0

2026年3月6日

 トランプ政権における攻撃理由の説明におけるブレも米国内で戦争の経緯を見守る者にフラストレーションを与えている。2日にルビオ国務長官は、イスラエルがイランに先制攻撃してその報復を米国は懸念していたと説明した。ところが翌3日にはトランプが「イランが先制攻撃してきそうだったから我々が先に攻撃した。むしろイスラエルを米国が追い込んだ」と逆の説明をした。その後、ルビオは大統領の発言を否定せず、我々は先制攻撃を受けないと決めたとして、攻撃はあくまで大統領の決断であったと前日の自らの発言とは異なる説明をした。

 実際の戦闘ではなく、紛争のせいで中東に多くの米国人が足止めされたことに対する政権の対応にも批判が殺到した。周到に練られた作戦だというのに、なぜ米国人救出の計画が出来ていなかったのかと記者に問われて、トランプは戦争が予想以上に早く進んだからと言訳するしかなかった。

 実際、足止めを食らった米国人が国務省の番号に救いを求めて電話すると、3日までは自動音声で「米国政府による退去支援に頼らないでください」と繰り返されるだけだった。それが批判を受けると4日から実際に人が電話に出てアドバイスをくれるようになったという。米国民が注目したのは、もし自分が海外でそのような事態に直面した時のことだったようだ。

それでも、安易に批判ができない議会

 一貫性のない政権の動きである一方、トランプの影響力を侮ってはならないだろう。11月の中間選挙を前に議員、特に共和党議員はトランプから目が離せない。もちろん、議会を無視して戦争を始めるトランプの態度に、大統領権限に歯止めをかけなければならないという考えを持つ人は多い。

 そもそも米国憲法は宣戦布告権を大統領ではなく議会に与えている。ベトナム戦争で大統領が独走した教訓から制定された戦争権限法では、大統領に議会への報告を義務付けている。ただし罰則はない。

 4日、上院では対イラン戦争の大統領権限を制限するという決議が53対47で否決された。民主党は民主主義を守るため賛成票を投じるようにと共和党議員を説得しようとしたが、ある議員は、「それが正しいのはわかるが勇気がない」と答えたという。

 実は3月3日に中間選挙は実質的に始まっているのだ。二大政党制の米国では、11月の本選挙の前に行われる予備選挙でどちらかの政党の候補に選ばれなければほぼ勝つことはできない。その予備選挙が一部の州で始まっている。

 トランプとしては、共和党の予備選挙では、自分を支持しない候補が出来るだけ落ちるようにし、民主党の予備選挙では、自分に脅威を及ぼしかねないようなダイヤモンドの原石のような候補がなるべく落ちるようにしたいところである。そのような流れを受けてトランプに支持されなかった共和党の候補者が、正式な共和党候補になれなかった例が既に発生している。


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