方針のパンフレット名は、「みんなで考える縮充のまちづくり」。今年7月には、山崎さんを招き、「縮充フォーラム2026」を開催する予定だ。「小さくても、少なくても、こころ豊かでしあわせと思える町の実現に向けて、山崎さんと住民の皆さんとの対話が、どんな未来を描き出すのか楽しみです」と、谷本さんは笑顔を見せた。
住民の対話が未来につながる
「みんなで」つくる町
佐用商店街は現状、シャッターが閉められている店が多い。そんな中、あたたかい明かりが漏れるガラスの戸を開けると、木製の大きな机で高校生が談笑していた。18年にオープンした、泊まれるコワーキング・コバコWork&Campである。
コバコでコミュニケーターとして働く神原麻里さんは、広島県出身で結婚と同時に佐用町に住み始めた。現在は、コバコを介して、起業家支援や、佐用高校の学生との交流事業、女性の就業支援など、町のコミュニティーづくりに携わっている。
子育て中の女性が集う「ほっこりカフェ」では、女性たちの本音を聞くことができた。
「子育て中の女性は、母として子育ての集まりに参加する機会はありますが、一人の人間として雑談する機会は多くはありません。そのような女性たちのコミュニティーづくりをすることで、雑談から個人の悩みの話になり、前を向くきっかけや町の施策への提言など、次につなげることができるようになりました」
谷本さんもコミュニティーの重要性について話す。
「生活の悩みがあるときは、コバコのような民間企業から役場につながることもできます。役場と民間企業や地域団体など、住民との距離が近く、『みんなで』話すことができるのは、佐用町の魅力だと思います」
佐用町の未来を語る上で欠かせない「みんなで」つくるという考え方。谷本さんはこう語った。
「町の人と助け合い、訪れる人を受け入れ、ともに暮らしていくという佐用町の方針は、言い換えれば『かつての暮らし方への回帰』ということなのかもしれません。ただ、それは単なる懐古ではなく、過去と現在の良さを組み合わせ、融合させながら、最適なまちづくりを再構成していく試みでもあるのです」
縮小しながらも新しい豊かさを見出していく─。そんな発想の転換こそが、現実に即した町のあり方を見つめ直す契機となる。美咲町と佐用町の取り組みは、私たちにそう教えてくれているのではないか。
