地上部隊投入に踏み切るのか
イスラエル・タイムズなどによると、米国の「15項目の要求」はイランの核能力の解体、弾頭ミサイル開発の制限、ホルムズ海峡の開放、中東の武装勢力への支援停止――などで、見返りに制裁解除を盛り込んでいる。対してイランの5項目提案には侵略・暗殺の停止や賠償金の支払いなどが含まれている。
米国は発電所攻撃の軍事的どう喝でイランを協議入りさせ、その後1カ月間の停戦期間を設定。この間に15項目の要求を詰めたい思惑だ。
トランプ氏は資金集め集会で「イランはとても合意したがっている」と述べた。しかし、双方の溝は大きく、現時点では協議開始の糸口さえ見つからない状況だ。
今後仲介国を巻き込んだ駆け引きが激化するが、焦点は①トランプ氏が4月6日までに協議入りできなかった場合に発電所を攻撃するのか②イランへの地上部隊投入に踏み切るのか、の2点だ。大統領は陸軍第82空挺師団をはじめ、佐世保基地(長崎県)配備の強襲揚陸艦トリポリや沖縄駐留の即応部隊、第31海兵遠征部隊を急派。中東地域には約7000人の地上部隊が集結する見通しだ。
これに対しイランの実力者ガリバフ国会議長は石油積み出し港カーグ島への侵攻を念頭に、攻撃されれば近隣の重要インフラに報復すると強く警告した。CNNはイランが多数の兵士をカーグ島に配備し、対人地雷などを設置していると報じた。「イランが罠を仕掛けるのは当然だ」(専門家)との見方も強い。
トランプ氏はかねてよりイラクやアフガニスタンなどへの地上軍派遣を「無駄遣い」と非難、それが支持を受けて大統領に当選した。しかし、その非難がブーメランのように自らに跳ね返ってきている。イスラエルのメディアはトランプ氏が一方的に停戦を宣言する可能性があるとも伝え、これを警戒するイスラエルのネタニヤフ首相がイランへの攻撃強化を命令した。
イラン側の交渉当事者は誰か
別の問題もある。イラン側の交渉責任者がはっきりしないことだ。これまでメディアなどで名前が上がったのは、ガリバフ国会議長、ペゼシュキアン大統領、アラグチ外相らだが、最高指導者だったハメネイ師の後継者である息子のモジタバ師は「生死は不明」(トランプ大統領)とあって言及が少ない。
イスラエルの有力メディア「ワイネット」によると、アラグチ外相が「モジタバ師から終戦交渉の承認を得た」と米側に説明したとされているが、影は薄い。代わりにクローズアップされているのがガリバフ国会議長だ。同氏は保守強硬派の政治家で、テヘラン市長を3期務めたベテランだ。
