革命防衛隊の空軍司令官だった経歴を持ち、防衛隊と親密な関係にある。米国に暗殺された革命防衛隊の英雄、コッズ部隊司令官のソレイマニ将軍の親友だった。実務的で現実主義者の一面もあり、教条主義的な政治家ではない。ウィトコフ中東担当特使がすでにガリバフ氏に連絡を取ったとも伝えられている。
ガリバフ氏はイランと交渉を行ったというトランプ大統領の発言を「フェイクニュース」と切り捨てた。大統領はイランの交渉相手を「適切な人物」と称したが、特定はしていない。イラン側は強硬派や穏健派、改革派などが混在しており、モジタバ師の下で一致結束していけるのかが今後の交渉のカギだ。
岐路に立つサウジアラビア
こうした地上部隊の派遣を歓迎しているのがサウジアラビアを牛耳るムハンマド皇太子だ。ニューヨーク・タイムズによると、皇太子は最近のトランプ大統領との電話会談で「戦争を歴史的好機」として、イラン攻撃の継続を主張。イランへの地上部隊を投入して政権を打倒することを支持しているという。
皇太子は「中途半端な勝利」で米軍が撤収すれば、結果的にイランが回復し、サウジなど湾岸諸国の脅威になり続けることになり、ホルムズ海峡を定期的に封鎖する力を与えてしまいかねないと恐れているようだ。イランのシーア派革命輸出を恐れる湾岸産油国はおしなべて皇太子と同様の考えのようだ。
サウジは米国のイラン包囲網に加担していたが、2019年にイラン支援のイエメン・フーシ派のドローン攻撃で石油生産の半分が止まったのを契機にイランとの関係を改善した。イランの力を見直さざるを得なかったからだ。
今回はイランが米国とイスラエルの攻撃の報復としてサウジなど湾岸諸国を攻撃していることに強く反発、イラン攻撃に参戦する瀬戸際まで追い詰められている。だが、参戦してイランのモジタバ政権が生き残った場合、イランに怯え続けなければならない。サウジは深刻なジレンマを抱えながら重大な岐路に立たされている。
