〝代替航路〟もターゲット
ホルムズ海峡の通航不可により、イラン以外の国々からの石油輸送が物理的に遮断される中、同海峡を迂回可能な代替ルートの重要性が高まっている。まずサウジアラビアには、東部の油田地帯アブカイクから西部の紅海沿いの港町ヤンブーまでを結ぶ、全長約1200キロメートル(km)の東西原油パイプライン(輸送能力日量500万~700万バレル)がある。
次にUAEには、アブダビ首長国の油田地域ハブシャーンからホルムズ海峡のインド洋側に位置する港町フジャイラに通じる、全長約360kmの原油パイプライン(輸送能力150万~180万bpd)がある。
現在、ホルムズ海峡を迂回できるフジャイラ港やヤンブー港からの原油輸出は増回傾向にある。米通信社「ブルームバーグ」によれば、フジャイラ港からの原油輸出量は3月20~24日の間で190 bpdに達し、過去1年間の平均積出量約121万bpdから57%増加した。また、ヤンブー港からの輸出量も3月5日の190万bpdから3月20日に410万bpdまで拡大した。
ただ、イランはホルムズ海峡を迂回可能な原油輸出港であるフジャイラ港やヤンブー港への攻撃にも着手し、これにより両港で原油積出作業が一時的に中断した経緯もある。この事態は、イランが戦略的に重要な輸出拠点を標的とする能力を依然保持しており、湾岸諸国の原油供給の脆弱性を浮き彫りにしている。
今後、仮に米国やイスラエルがイランの石油・ガス関連施設を破壊した場合、イランは報復措置としてフジャイラ港とヤンブー港に対し、さらに大規模な攻撃を行うと予想される。その場合、湾岸諸国からの原油供給が中長期的に途絶する可能性も否定できない。
