2026年4月8日(水)

プーチンのロシア

2026年4月8日

 ウクライナの防衛ドローン技術への注目は、湾岸諸国にとどまらない。日本でも4月初めに、日本のドローン開発企業がウクライナの防衛テック企業「アメイジング・ドローンズ」に出資すると報道され、日本企業の株価が急騰した。アメイジング・ドローンズは、現在月産200機程度の体制を、資金調達を通じて早期に5倍の1000機にする計画という。

アメイジング・ドローンズのドローン(同社HPより)

 日本政府は現在、ドローンで沿岸を守る構想を打ち出し、防衛体制の再構築に向けて採用機種の選定を進めている。そのような機会をチャンスととらえ、ほかのウクライナ企業に出資する動きが広がる可能性は十分にある。

ウクライナ軍が着目

 冒頭で紹介したTAFインダストリーズはもともと、ウクライナ産穀物の輸出や燃料の輸入を担っていた物流会社だった。

 2022年2月のロシアによる全面侵攻開始を受け、ヤコベンコCEOはウクライナ軍への物資の搬入支援を開始した。そのような中で、搬入先の南部オデッサで中国製の民生用ドローンがいかに戦場で役に立っているかの現状を知り、ドローン生産に関心を持ったという。

 そして22年末には、ドローンに搭載したカメラからの映像を操縦者がゴーグルなどで受信して操縦する「FPVドローン」と呼ばれるタイプのドローン生産に向けて、ウクライナ軍と協力して部材の調達を開始した。製造にあたるボランティアを集め、徐々に生産を開始したという。

 ロシアに対抗する作戦において、ドローンの重要性が高まる中、ヤコベンコ氏は自ら23年に約200万ドル(約3億円)の資金を投じて工場の建設を開始した。しかし、ロシア軍の攻撃を受けて工場は壊滅的な状態に陥った。同氏の落胆は大きかった。

 しかし、社員の強い要請を受けて再建を決意。工場は完成し、23年末にはドローン生産を開始した。ドローンの生産は当時、あくまでも軍に対する慈善活動の位置づけで、本業である物流業も続けていた。

 提供されたドローンも、軍部隊においてはドローンを利用したことがある経験者が〝我流〟で操縦していたレベルだったといい、軍の作戦として十分に練られたものでもなかった。

 しかし、転機が訪れる。同社の活動に着目したデジタル改革省と国防省が、彼らに専門的なドローン生産企業として再編するよう呼びかけた。その呼びかけに応じ、24年3月には15万機の大量受注を受けて、ドローン生産企業として本格的な活動を開始した。以来、わずか2年あまりでウクライナを代表する企業に成長した。

ロシア軍の侵攻を受け開発が加速

 ウクライナのドローン産業の発展はいくつかの段階に分かれていると指摘される。

1) 14年のロシアによるクリミア半島併合、ドンバス地域での紛争勃発以降

 ウクライナの企業がボランティアで、民生用品向けの部品を作りドローンを自作したり、クラウドファンディングを使って生産のための資金調達をする動きが広がった。ただ、その性能はまちまちで、軍との連携も不十分だった

2) 19年のトルコ製の無人戦闘航空機「バイラクタルTB2」導入

 19年にトルコ製の無人戦闘航空機「バイラクタルTB2」をウクライナ軍が本格導入したことで、ドローンを活用した戦闘態勢を構築。21年には実戦配備された

3) 22年のロシア軍による全面侵攻開始以降

 ウクライナ軍は各地の民間企業が進めたドローン製造開始の動きを束ねて、国を挙げたドローン供給の流れが生まれ始めた。TAFインダストリーズがドローン製造を本格化したタイミングもこの時期にあたると考えられる。これらのドローンは、1機数億円程度とされるバイラクタルよりさらに廉価で、複数の企業群が民生用部品などを活用し、新たなドローン生産を始めた


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