また、トランプ大統領は政治日程にも縛られている。直近の重要行事は5月14日、15日の訪中であり、それまでに名目上でも戦闘を勝利に終わらせたという形にしたいと考えているだろう。さらに、7月4日は、建国250年祭であり、この時も軍事衝突が続いているのは望ましくなく、11月3日には中間選挙を控えているので、ガソリン価格が高騰したままではまずい。
他方、停戦合意が破綻して、仮にトランプ大統領が軍事作戦を行うとすれば、どのようなものが考えられるだろうか。おそらく、(1)ペルシャ湾からの石油の輸出を阻害して、油価を高騰させているホルムズ海峡近傍のイランのミサイル、ドローン、高速艇の基地、(2)イランの石油輸出の90%が積み出されるカーグ島のどちらかの可能性が高い。
トランプ大統領がガソリン価格の高騰で政治的圧力を受けていることを考えると、(1)の可能性が高い。なお、現在集結中の1万人弱の兵力では長期間占領することは不可能なので、いずれも数日程度の短期間となると考えられる。
イランはますます厄介な国に
紹介した解説記事は、イランのイスラム革命体制が事実上、革命防衛隊の軍事独裁体制となっていることを説明しているが、これには全く同意できる。イスラム革命体制の幹部と接触のある亡命イラン人は、「(ハメネイ師ら)指導者の相次ぐ殺害は革命防衛隊にとり天与の贈り物であり、彼らの立場を確固なものとした」と評している。
イスラム革命体制は象徴的存在となり、革命防衛隊が国家運営と軍事作戦の双方を主導しているとみられる。米国とイスラエルによるイラン攻撃は、かえってイランをますます厄介な国にしたのではないか。
なお、記事は、なぜ革命防衛隊がイスラム革命体制を直接倒さないのかについてまでは触れていない。この点を補足すると、革命防衛隊の存在根拠がイスラム革命体制に依存しているからである。

