早速のあからさまな「プレゼント」に、「友好か、戦いか、選ぶのは台湾だ」というメッセージを多くの人が感じ取ったはずだ。もちろんここで言うのは、中国の望ましい形で将来における統一というビジョンを拒否しないという前提での「友好」である。
総統選の前哨戦といわれる26年11月の地方選挙では、民進党と国民党との間で、大きな差はつかない可能性がある。6大都市の市長選挙について、台北市は蒋万安市長の再選はほぼ確実だ。台中市は江啓臣・副議長(国民党)の当選が有力で、桃園市も張善政市長(同)は手堅く再戦されるだろう。
民進党が抑えている高雄市、台南市では、民進党の苦戦も囁かれているが、民進党候補が逃げ切る可能性は高い。新北市は接戦となりそうで、市長ポストの民進党の奪回が起きるかもしれない。
鄭氏と現実派の関係は
いずれにせよ、全体としてみれば、「鄭氏のために国民党が惨敗した」とはならないだろう。鄭氏路線とは中国の協力路線である。そして、鄭氏は中国が望ましいと考える国民党の代表である以上、鄭氏にあからさまな反旗を翻すことは国民党内では難しくなった。
鄭氏の訪中に対する世論の反応は割れており、まだ評価は定まっていないが、鄭氏も中国がバックにいるというだけで実績、経験とも不足している自身が総統候補になれるとは思っていないはずだ。
現在、国民党の総統候補では盧秀燕・台中市長や蒋万安・台北市長の名前が上がっている。いずれも現実派だが、鄭氏との協力を模索していくことは避けられない。鄭氏にとっても彼ら現実派との関係構築が課題となる。
国共トップ会談により、かつて中国共産党は台湾選挙の「影」のプレーヤーであったが、これからはメインプレーヤーの一人として振る舞うという意思表明がなされた形である。次の総統選挙を含めた台湾政治の対決構図は政権与党の民進党VS共産党およびその影響を強く受ける国民党と民衆党という色彩が強くなっていくことは間違いなさそうだ。
