2026年4月24日(金)

World Energy Watch

2026年4月24日

世界有数のアルミニウム産業

 ホルムズ海峡封鎖の長期化は、湾岸諸国のアルミニウム産業にとっても打撃となる。湾岸地域は、世界のアルミニウム生産においても重要な地位を占めている。国際アルミニウム協会(IAI)によれば、湾岸諸国の25年のアルミニウム生産量は約616万トンに達し、世界生産量の約8%を占めた。

 アルミニウムは、軽量でありながら強度や導電性にも優れ、各種金属の中でも重要な素材の一つである。実際、自動車や鉄道車両、航空機などの輸送機器をはじめ、建材、飲料缶、エネルギー関連設備、電機・電子機器、包装・容器、防衛製品など幅広い分野で使用されており、汎用性の高い素材といえる。

 アルミニウムの生産工程について、原料となるのは赤茶色の鉱石「ボーキサイト」である。これを細かく砕き、薬品を使って不純物を分離すると、「アルミナ」と呼ばれる白い粉ができる。アルミナはアルミニウムと酸素が結びついた状態のため、さらに電気分解によって酸素を取り除くことで、銀色のアルミニウムが生産される(出所:日本アルミニウム協会)。

 湾岸地域には、世界有数のアルミニウム製錬所が集積している。アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA)が運営するジュベル・アリ製錬所とタウィーラ製錬所、バーレーンのアルミニウム・バーレーン(アルバ)運営の製錬所、サウジ鉱業会社(マーデン)のラアス・ハイル製錬所、カタールのカタラム製錬所、オマーンのソハール製錬所である。

 またサウジアラビアには、湾岸諸国で唯一操業中のボーキサイト鉱山がある。他の湾岸諸国が原料を輸入に頼る中、マーデンのバイサ鉱山が国内のボーキサイト供給を支えている。サウジアラビアのボーキサイト生産量は、25年に570万トンと世界第8位を記録した。

 UAEは、ボーキサイトを海外からの調達に依存しているものの、高度なアルミナ製錬技術を生かし、25年のアルミニウム生産量は世界第5位の270万トンに達した。EGAは13年にギニアのギニア・アルミナ社を取得し、同国でボーキサイト事業を展開している。

 バーレーンも経済多角化政策の初期段階からアルミニウム産業の育成に力を入れてきた。68年にアルバが設立され、71年に生産を開始したことで、同国は中東初のアルミニウム生産国となった。原料となるボーキサイトやアルミナは主にオーストラリアから調達し、国内で製錬することで、25年の生産量は世界第6位の160万トンにのぼり、その約8割を輸出している。

中東アルミニウム産業への打撃

 ホルムズ海峡の通航停止により、中東のアルミ関連企業は、原料であるボーキサイトやアルミナの輸入に加え、製品の海上輸出も難しい状況に直面している。

 カタールのカタラム製錬所は、ガス供給元のカタール・エナジーが供給継続は困難だと表明したことを受け、3月3日に計画停止に入った。共同事業者のノルウェー企業「ノルスク・ハイドロ」は、完全な操業再開には6~12カ月かかる可能性があると発表した。バーレーンのアルバも3月4日、ホルムズ海峡経由の海上輸送の混乱を理由に、アルミニウム出荷に関して不可抗力を宣言した。


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