2026年4月24日(金)

World Energy Watch

2026年4月24日

 こうした中、3月28日、UAEのタウィーラ製錬所(年産能力160万トン)とバーレーンのアルバの製錬所(年産能力162.7万トン)がイランから攻撃を受けたことで、両国からのアルミニウム供給不安が長期化することへの懸念が高まった。アルバの製錬所では設備被害の詳細が明らかにされていない一方、EGAは4月3日にタウィーラ製錬所の被害について、アルミニウム生産の全面復旧に最大12カ月を要する可能性があると発表した。

アルミニウムも輸入に頼る日本

 過去、日本は製造業で大量のアルミニウムを使用していたことから、消費と生産の両面で世界的な存在感を示していた。高度経済成長に伴い、アルミニウム産業は急速に拡大し、消費量では67年に、生産量では72年に、いずれも米国、ソ連に次ぐ世界第3位に躍進した。

 しかし、70年代の二度の石油危機で電力コストが急騰し、アルミニウム製錬は採算面で決定的に不利となり、国内の製錬工場は壊滅的な打撃を受けた。日本のアルミニウム生産量は74年の111.8万トンをピークに減少に転じ、81年には77.1万トン、84年には29.1万トンまで落ち込んだ。一方で、この間も消費量には大きな変化はなかった(小林藤次郎『アルミニウムのおはなし』日本規格協会、1985年)。

 現在、日本のアルミニウム需要は全面的に輸入に依存している。そして、25年の輸入量に占める湾岸諸国の比率は、アルミニウム地金で19%、アルミニウム合金で32%だった。とりわけUAEからの輸入が目立ち、アルミニウム地金で11%、アルミニウム合金で25%を占めた(図表2)。

 日本のアルミニウム輸入が湾岸諸国への依存度が比較的高い中で、ホルムズ海峡の通航不能による輸出停滞や、バーレーン、カタール、UAEの一部製錬所の稼働停止によって、日本向けの供給は不安定となっている。こうしたアルミニウム調達不足を受け、日本の製造業は生産計画の遅れを余儀なくされ、工場が一時的に操業停止に追い込まれる可能性がある。

 また、アルミ価格の上昇は製造コストの増加に直結する。米ブルームバーグによれば、アルミニウム価格はイラン戦争の開始以降、約15%上昇した。調達コストの増加を最終製品の価格に転嫁せざるを得ないため、日本国内でインフレが加速する他、アルミニウム生産大国である中国との国際競争で不利に立たされる恐れもある。

 湾岸諸国は日本にとって原油の安定調達先であるだけでなく、アルミニウム供給を通じて製造業の基盤を支える重要な存在でもあることを、改めて認識する必要があるだろう。

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