「建設的戦略安定関係」とは対立があってもそれを管理していくという習主席の長期的な戦略に基づく考えだ。中国は米国を追い越す大国になるにはあと3年は必要とみており、時間稼ぎの戦略でもある。トランプ大統領は懸案の台湾への111億ドル(1兆7400億円)に上る兵器売却について、中国との交渉の「取引材料」とし、実行するかどうかの明言は避けた。
トランプ大統領によると、中国が台湾に侵攻した時、米国はどう対応するのかを習主席に問われ、答えないと述べたという。大統領特有の抑止力を高める「あいまい戦術」なのか、答えを持っていなかった準備不足なのかは明らかではない。むしろこうした率直なやり取りがあったことが驚きだ。
イラン問題での協力獲得はなし
会談後の米国の発表では、台湾問題に関する言及は一切なく、米側の喫緊の課題がイラン問題であることが示された。発表では、首脳会談ではペルシャ湾の要衝ホルムズ海峡の開放、海峡の「軍事化」に反対ということで一致し、中国がイランに武器装備品を売却しないことでも合意したという。
イランの核開発についても、両首脳が「核を保有させない」ことでも合意したとされる。しかし、中国は米国側が発表したこれらの点については触れていない。
海峡の「軍事化」という文言にしても、米側の海上封鎖を指している可能性もあり、イランを批判したとは限らない。米側が良いとこ取りした懸念もある。
中国にとってイランはペルシャ湾岸諸国の連携国であり、首脳会談の直前にイランのアラグチ外相が訪中、戦争について話し合っている。ホルムズ海峡は中国が輸入する原油・天然ガスの40%が通過、イランからの原油輸入は全体輸入量の10%強にも達する。
首脳会談直前には中国のタンカー数隻がイラン側に海峡通過を許可されており、海上封鎖をする米艦隊も「見て見ぬふり」をした可能性がある。ワシントン・ポストによると、イラン戦争に関する極秘の分析報告書がケイン統合参謀総長あてに提出された。報告書は中国が戦争を注視し、米軍の継戦能力や自国の将来的な軍事作戦の立案の仕方などを参考にするため利用している。
イラン、あらゆる攻撃に対応
戦争終結に向けた協議の行方はどうなるのか。イランは首脳会談に先立ち、米国の提案に対する14項目の回答を米側に送った。内容は明らかではないが、攻撃されない保証、ホルムズ海峡をめぐる支配権、米海軍の海上封鎖の解除、レバノンなどすべての戦線での戦闘停止、制裁解除などを要求した。
核問題については言及せず、30日間の期限を新たに設けて協議する意向を伝えたようだ。しかし、トランプ大統領は「受け入れられない」と拒否、「ゴミのようなもの」と断じ、「イランは狂人と間抜けな人々によって率いられている」などと罵倒した。核問題が含まれていなかったことに激怒したとみられている。
