2026年6月8日(月)

トランプ2.0

2026年6月8日

 ハーバード大学も、中華民国とゆかりが深い。同大の総合図書館であるワイドナー図書館の西隣に高さ約5メートル重さ約27トンもの巨大な石碑が立っている。1936年の大学創設300年を記念して、同大で学んだ中国人たちが寄贈したもので、今後米中両国が意思疎通を深め互いに発展していくことへの切なる願いが彫られている。

 この文を書いた胡適をはじめ、多くの中華民国の有力者がこの石碑寄贈プロジェクトに関わっていたため、ハーバードと中華民国のつながりを象徴するものとして認識されている。メインキャンパスのワイドナー図書館の隣という一等地に設置されており、以来移動されてもいないことから大学側が如何に重視していたかがわかる。

トランプは会談するのか

 鄭麗文訪米の一番の目的は、4月の訪中によって中国寄りと見なされるようになった自らのイメージを、伝統的パートナーである米国を軽視しているわけではないと説明することで、修正することにあるだろう。そして、自分が米中どちらの大国とも渡り合える台湾唯一の指導者であると示せればしめたものといったところだろうか。

 鄭個人のレベルを超えて考えると、別の目的もあるのが見えてくる。米中首脳会談後、トランプ政権が台湾を置き去りにしつつあるようにみえる今、米国と中華民国、すなわち台湾との過去のつながりを米国民に思い出させ、そのつながりをかつてのように強くしたいというのである。

 強いものを好むトランプにとって、野党党首である鄭麗文に会うことにメリットを見出すことはないかもしれない。もとより台湾関係者と会うのは、対中国を考えると通常なら慎重にならざるを得ない場面である。

 ただ、鄭麗文は台湾関係者と言っても、独立派の与党党首の頼清徳に反対する立場であり、習近平自身が北京で直々に会談してもいるため、ことは一筋縄ではいかない。逆に台湾からの使者である鄭に会うことが、中国を利するとすらとられかねないのである。

 トランプは鄭麗文と会談するだろうか。それは会談することがどれだけ米国内の耳目を惹きつけることができるか、そしてそのような会談をして国民の関心をそちらに惹きつける必要にかられるかによるだろう。

 鄭麗文の旅程にもワシントンは入っており、トランプの気が向けばいつでも会えるようにはしてあるはずである。現状では、米メディアの鄭訪米への関心はそれほど高くない。

 しかし、トランプ政権下、何が起こるかわからない。状況次第ではいかようにも変化しうる。鄭が米国を離れるまで注視していかなければならない。

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