2026年6月9日(火)

World Energy Watch

2026年6月9日

天然ガス事業への日本企業の参入

 オーストラリアの天然ガス産業における特徴として、日本企業が単にLNGを調達するのではなく、ガス田開発からLNG生産に至るプロセスに直接関与している点が挙げられる。オーストラリア北西部の沖合にあるイクシスLNGプロジェクトでは、日本のエネルギー会社「INPEX」が事業のオペレーター(操業主体)としてガス田の開発から操業までを担っている。

 さらに、日本企業はオーストラリア産LNGを第三国に再販売することで、収益を拡大している。オーストラリア産LNG契約の多くには、カタール産のような転売を禁じる「仕向地条項」が設けられていないため、再販売が可能となっている。

 日本企業が長期契約を通じて引き取るオーストラリア産LNGの年間契約数量だけでも、25年時点で約2800万トンに達している(図表2)。スポット契約分を含めれば3000万トンを超える可能性があり、これは日本向けの実際の輸入量を上回る規模である。

 米国拠点のエネルギー経済・金融分析研究所(IEFA)によれば、このような余剰分を活用したLNGトレーディングを通じて、日本企業は多額の収益を得ており、その金額は23年に110億~140億オーストラリア・ドルに達したとみられる。

イラン戦争で高まる価値

 日本にとって、オーストラリアからのエネルギー調達の重要性は、イラン戦争を受けてこれまで以上に高まっている。26年2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃以降、イランの軍事行動により、ホルムズ海峡は事実上封鎖された状態にある。イラン戦争以前、日量約2000万バレルの石油(原油及び石油製品)に加え、カタールとアラブ首長国連邦(UAE)が輸出する年間約8000万トン以上のLNGがホルムズ海峡を通過していた。

 しかし現在、同海峡の通航は困難な状況に陥っている。原油については、サウジアラビアやUAEがホルムズ海峡を迂回できるパイプラインを保有しているため、一部の輸出は継続可能である。これに対し、LNGは主に専用のLNG運搬船によって輸送されるため、ホルムズ海峡の通航停止の影響をより直接的に受け、カタールとUAEからのLNG輸出は困難となっている。

 日本の中東産LNGの調達状況を見ると、カタールとUAEからの輸入量は、13年のピーク時には2010万トン(総輸入量の23%)であったが、25年には407万トン(全体の6%)まで低下している。今回のイラン戦争を機にホルムズ海峡の封鎖リスクが現実化したことで、エネルギー調達においてチョークポイントを回避する重要性がさらに高まった。その点で、オーストラリアから輸入されるLNGは、ホルムズ海峡を通過せずに日本へ輸送できるため、中東情勢悪化に伴う航行リスクを相対的に抑えることができる。


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