オーストラリアが直面するガス不足問題
日本の電力政策にとって不可欠なパートナー国となったオーストラリアは現在、天然ガス開発をめぐる課題に直面している。LNG事業の拡大に伴い、国内で生産される天然ガスの多くが輸出に振り向けられるようになったためだ。
01年時点で天然ガス生産量32BCM(10億立方メートル)のうち、輸出量は生産量全体の32%(10BCM)であった。しかしその後、輸出比率は年々上昇し、24年には生産量150BCMの71%相当(106BCM)が輸出されるまでになった。
オーストラリア全体ではガス生産量が大きく減少しておらず、輸出量もおおむね維持されている。ただし、州・準州別に見ると、生産動向には大きな地域差がある。オーストラリア気候変動・エネルギー・環境・水資源省(DCCEEW)によれば、10年度から23年度(23年7月~24年6月)の期間、西オーストラリア州、クイーンズランド州、ノーザンテリトリー準州では生産量が増加した一方、東部のビクトリア州では、13BCMから7BCMへとほぼ半減した(図表4)。
ガス田の減産がビクトリア州でのガス不足問題につながっている。州内最大の供給源であるギプスランド盆地のガス田が成熟段階に入り、生産量は減少傾向にある。
24年時点で、同盆地のガス生産量は年間約5.6BCM、確認埋蔵量は約35.6BCMであった。今後も同程度の生産が続くと仮定すると、可採年数は約6.4年となり、単純計算で31年頃に枯渇する見通しである。
ビクトリア州の今後のガス供給は、冬季の需要増加と、北部から南部へのガスパイプラインの輸送能力に大きく左右される。同州のガス需要は、オーストラリア・エネルギー市場運営機関(AEMO)の予測によれば、電化の進展により中長期的には減少する見通しである。
ただし、家庭暖房への依存度が高く、冬季には需要が急増する。また風力・太陽光発電の出力が低下すると、ガス火力発電の稼働も増えるため、寒波時には家庭用と発電用の需要が同時に膨らみやすい。
部門別では2番目に多い産業用ガス需要も30年以降に縮小するとみられるが、高温熱や化学原料など代替が難しい用途では一定の需要が残る。したがって、課題は年間需要の総量よりも、冬季のピーク需要と代替が難しい産業用需要を安定的に支えることが重要となる。



