2026年6月25日(木)

Wedge REPORT

2026年6月25日

 多くの企業と関わる三松氏から、中古スマホ市場について気になる話を聞いた。「取引がある企業に限られるが、推計で年間約750万台の中古スマホが海外の企業やユーザーに販売されている」というのだ。一体どういうことか。ゲオなどの小売業者が加盟する業界団体、リユースモバイル・ジャパン(RMJ)理事長の有馬知英氏は海外の中古スマホ事情について次のように話す。

 「キャリアは下取りの仕組みなどを使用して、年間600万~700万台の中古スマホを回収し、RMJの加盟団体は200万台超を回収している。一部の中古スマホは回収した企業が再販し、他は商社などを通じて海外に輸出していることが多い」

 冒頭にも触れたが、国内で出荷されるスマホは年間約3000万台。そして、キャリアが年間600万~700万台、RMJの加盟団体が200万台超を回収する。回収された中古スマホは国内で約300万台販売される一方、約750万台が輸出されているようだ。前出の三松氏は言う。

 「昨今の円安もあり、日本よりも高い値段で買い取ってくれることがある。中古スマホの価値の変動は激しく、在庫を持つことはリスクにもなりうる。日本で安く買って、海外で高く売ることは、ある意味で、資本主義の動きではある」

日本の中古スマホ
海外輸出が加速する?

中古のiPhoneが検査の前に充電されている様子(REUTER/AFLO)

 日本の中古スマホはどこに行っているのか。RMJの創設者であり、中古スマホのバッテリーを交換した「リファービッシュ」品の販売・レンタルを手がけるニューズドテック(東京都中央区)代表取締役社長の粟津浜一氏は次のように話す。

 「香港・シンガポール・ドバイの三市場に流れ、そこからアジア諸国や欧米、アフリカに流れていく。日本の中古スマホは比較的きれいに使われており、海外の業者にとって魅力的だ。現に一部の中古スマホの価格が高騰する現象も起きており、当社でも、中古スマホ端末を購入しにくい事態が起きている」

 近年、中古車市場では海外のバイヤーが日本車を買いあさることで価格が高騰し、買い負けた中古車販売店が倒産する事態が発生している。円安も収束する兆しすら見られない状況である。業界は違えど、中古スマホも同じような事態に陥る可能性もあるのではないか。粟津氏はこう語り、危機感を募らせる。

 「このまま円安が加速すれば、日本の買取販売業者にとって、仕入れが厳しくなることも想定される。都市鉱山という観点で、金やレアメタルの有効活用を考えると規制が必要になるかもしれないが、国が現在の中古スマホの輸出を止めることは難しいだろう」

 国内の中古スマホ需要は今後も拡大する見込みだ。賃金が伸び悩み、日本人の相対的な購買力も低下している。このままでは、日本人が中古スマホを「買いたくても買えない」日が訪れる可能性もあるのではないか。足元で進む中古スマホ市場の動きは、いまの日本の苦境そのものを映し出す「鏡」だと言えるかもしれない。

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Wedge 2026年7月号より
エネルギー依存国家・日本 持たざる「弱み」を「力」に変えよ
エネルギー依存国家・日本 持たざる「弱み」を「力」に変えよ

ホルムズ海峡の事実上の封鎖により、世界のエネルギー情勢に激震が走った。日本はこれまで気候変動対策や脱炭素をより重視する姿勢を貫いてきた。しかし、従来の「前提」を根底から見直す局面に立たされている。また、各地で原発の再稼働が進みつつあるが、「核燃料サイクル」実現を進めていくうえで、課題は山積している。だが、思考停止に陥ってしまえばこの現状を打破することはできない。今こそ、日本は「ひよわな花」であることを自覚し、持たざる「弱み」を「力」に変えていく時だ。

 


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