2026年6月23日(火)

勝負の分かれ目

2026年6月23日

 本大会の出場枠を広げ、今大会の出場チームは48。前回大会の32から1.5倍に膨らんだ。日本が「ドーハの悲劇」によってあと一歩で出場を逃した1994年の米国大会の出場チームは24。同じ米国を舞台にした大会だが、出場チーム数は28年で2倍に膨らんだ。

 これに伴い、試合数も前回大会の64から104へ大幅に増えた。恩恵がもたらされたのは、FIFAが手にする放映権料だ。

 日本経済新聞の記事によれば、FIFAが2023~26年に手にする放映権料は40億ドル(約6400億円)に達する見通し。前回のカタール大会が開催された22年までの4年間の34億ドルから大きく伸びることになる。配信事業者も参入したことで大会中継権の争奪戦は激しさを増しており、日本国内でも、英動画配信DAZNが全試合の放映権を獲得し、NHKと日本テレビ、フジテレビの地上波中継は日本戦や決勝などの60試合となった。

 W杯北中米大会が主となるFIFAの26年までの4年間の収入そのものも約130億ドル(2兆円規模)で、こちらは22年までの4年間の約2倍にまで膨らんだ。

チケットの高騰に鈍る需要

 ただ、FIFAのホクホクな懐事情とは裏腹に、現地ではチケット高騰による批判の声が高まっている。

 チケット価格を押し上げる要因は、今大会から導入された「ダイナミックプライジング」だ。朝日新聞が4月にニューヨーク発で配信した記事では、4月に公式販売された決勝戦のチケットは3回値上げされ、最大1万990ドル(約174万円)まで上昇。カタール大会の最大価格から7倍近い高値相場となったという。

 今大会はカナダ、メキシコとの共催の形をとるが、実際の試合は全体の7割超が米国内での開催となっている。そもそも米国、カナダのほとんどの地域では、チケットの転売は合法となっており、4月末にはチケットの転売価格が急騰。朝日新聞の4月22日付記事は、決勝のチケットが転売市場で8万ドル(約1270万円)を超える価格で取引されたことを取り上げ、日経新聞の4月29日付記事では、FIFAの公式転売サイト上に1枚3億円超で出品されたことが確認されたと報じられた。

 日本戦も例外ではない。開幕約1週間前の日経新聞の記事によれば、米調査会社チケットデータの情報として、チケット価格が上昇傾向にあることを伝える。

 約8割の試合が6月1日までの2週間で2~4割上がり、日本代表の対スウェーデン戦の最も安い価格帯の席も平均で8万円超まで37%上昇したという。日本のファンには、昨今の円安は現地滞在時の食費などの円換算物価にも跳ね返り、現地観戦はますます遠のきそうだ。

 また、今春に開催された野球の国際大会「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」が国内の地上波で中継されなかったことなどを受け、日本でも、国民的関心が高いスポーツイベントを誰もが無料で視聴できる「ユニバーサルアクセス権」の是非が議論されているが、日経新聞の6月11日付記事では、FIFAの放映権を統括するジャンクリストフ・プティ氏が「決して賛成しない」との立場を明かした。

 プロスポーツの本場でもあり、人気や注目度が高まる試合の観戦チケット価格が高騰する米国内でも、もはや受容の限界を超えつつある。日経新聞は、トランプ大統領が5月6日に米紙ニューヨーク・ポストの取材で、約1000ドル(約160万円)する米国代表の開幕戦チケットに「観戦にはいきたいが、正直なところ、私もその金額は払わないだろう」と語ったことを紹介。実際、観戦にかかる費用の高騰は、サッカーファンの需要を鈍化させ、決勝戦が行われるニューヨーク近郊をはじめとした開催都市のホテルの宿泊価格が値下げに転じる事態を招いたという。


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