オイルマネーとも結びつくFIFA
一方、大幅な収益増を見込むFIFAは、4月の理事会において、賞金総額を従来計画比から15%引き上げて過去最高の8億7100万ドル(約1390億円)」に引き上げた。優勝賞金は史上最高の5000万ドル(約80億円)。前回の22年カタール大会から800万ドル(約12億8000万円)増となった。
ただし、FIFAの引き上げは、北中米の広域開催によって、参加経費がかさむことを懸念した出場国・地域から相次いだ分配金の増額要求に応じた形だ。FIFAは非営利団体であり、収益はサッカー界へ還元する姿勢を表明するものの、インティノ会長の報酬総額は日本円で12億円超となっている。
FIFAに莫大な収益をもたらすW杯は、潤沢なオイルマネーとも結びついた。34年大会の単独ホスト国に決まったのは、サウジアラビアだ。潤沢なオイルマネーは、サッカービジネスの拡大路線を突き進むインティノ会長にとって大きな魅力で、国が抱える人権問題は巨額の資金で洗浄される「スポーツウオッシング」との批判もどこ吹く風である。
拡大路線への懸念
FIFAは21年にはW杯を将来的には2年に1度にする隔年開催の実現可能性を探ることも報じられた。インティノ会長が牽引する拡大路線に懸念はないのか。
同じく世界的な市場規模を持つ五輪は、1984年のロサンゼルス五輪を転機として、商業主義へと舵を切った。放映権料や1業種1社に限ったスポンサー契約を編み出し、スポンサーの価値を向上させることで契約金も高騰させた。
画期的なこの手法は、その後の他のスポーツイベントでも活用された。しかし、近年は、五輪も大会の肥大化によって開催都市への負担増や放映権料やチケットの高騰など、ひずみが生じている。
コロナ禍の東京五輪の開催にも強硬的だった国際オリンピック委員会(IOC)の姿勢は、日本国内の「五輪離れ」を招いたとされる。FIFAが蜜月にあるサウジアラビアだが、男子ゴルフの新興リーグ「LIVゴルフ」は、同国の政府系ファンドが支援を打ち切ることで存続が危ぶまれる事態に暗転した。
それでも、世界的なスポーツイベントを掌握し、サッカーの価値の最大化の指標に収益性を高めることを念頭に置くFIFAの姿勢は尖鋭化の流れが続きそうだ。
