会談そのものでは、相互訪問と会談の定例化、日韓アクロバット飛行チーム(ブラックイーグルス、ブルーインパルス)の交流、9年ぶりに再開した海上捜索救助訓練(SAREX)の発展、AIなど先端技術協力の協議で一致した。一方、日本が求める物品役務相互提供協定(ACSA)は今回も正式議題に上らなかった。
会談後、安長官は小泉氏に、父・小泉純一郎元首相の訪韓を報じた当時の国防日報の記事を額装して贈った。世代を超えた縁を感じさせる一幕だった。
導入決定か「国防特化AIモデル」
安長官は7月1日、ソウルの国防部で「2026年上半期全軍主要指揮官会議」を主宰した。統合参謀議長や陸海空軍の参謀総長、海兵隊司令官ら約150人が集い、中東やウクライナの戦訓を踏まえ、AI・ドローン・ロボットといった低コストで高効率の「非対称能力」の重要性と、「スマート精鋭強軍」の育成で認識を共有した。その柱の一つが、下半期に試験導入される「国防特化AIモデル」である。
これは、国防部が科学技術情報通信部や民間企業と組んで開発する、軍務に最適化したAIだ。国防部が掲げる「国防AX(AIへの転換)」、すなわち作戦から行政まで幅広い分野にAIを組み込む取り組みの中核に位置づけられる。開発は政府の「国家AIプロジェクト」に選ばれ、政府が確保した1万枚のGPU(グラフィック処理装置)のうち約3000枚が関係省庁に配分される。
国防部は5月、この分野の精鋭チームに選ばれたSKテレコムと協定を結び、まず同部の独自基盤モデルを軽量化した上で、国防データを追加学習させて高度化する方針を示した。下半期には、開発したモデルを部隊に試験適用するとともに、民間企業に「国防データカタログ」を提供してAI技術開発を後押しする。
会議では、教育用ドローン約1万1000機の確保や、実証専門部隊の1個から9個への拡大も報告された。人口減少で人的資源が細る中、軍は現役兵を減らして技術集約型の下士官を増やす「幹部中心」(注:幹部は将校・下士官を指す)の構造へと移りつつある。
安長官は戦時作戦統制権の回復、士官学校の教育改革、防諜・情報機関の改編を必ず果たすべき核心課題に挙げ、「改革は革命より難しい」としつつ、国防改革の完遂を全軍に呼びかけた。
