2026年7月28日(火)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2026年7月28日

港で止まるのは貨物だけではない

 コンテナが港に残れば、荷主には保管料や超過利用費が発生する。ドレージを再手配できなければ納品が遅れ、緊急輸送が必要になる場合もある。前倒し輸入や安全在庫が常態化すれば在庫日数は増え、条件次第では、仕入れ代金の支払いから販売代金の回収までの期間(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)が延び、荷主企業の運転資金を圧迫する。

 一つの時間変更は、荷主側では在庫、納期、生産計画、営業判断、調整工数として、運送会社側では運行本数、採算、車両更新、人材採用の問題として表れる。

 港湾待機のコストは両者の別の場所に現れるため、切り離して捉えている限り、その本当の大きさは見えない。

可視化の次に問われる「同期回復速度」

 船舶の位置や到着予定、港の混雑は以前より把握しやすくなった。可視化は必要条件だが、見えるだけでは貨物は動かない。

 本船の予定が変われば、フォワーダーへの確認、通関の変更、配車調整、倉庫の受け入れ枠の確保、工場や営業への連絡が生じる。一つの変更が、企業と部署をまたぐ複数の再手配へ分裂する。

 物流の評価軸を「予定通り運べたか」だけでなく「予定が崩れた後、どれだけ早く全体を組み直せたか」へ広げるべきだ。測るのは、異常検知、影響貨物の特定、代替案の提示、ドレージ再手配、バース・作業枠の再予約、搬出可能から実搬出までの各時間である。

 中でも重要なのは、船の予定が崩れた後、ドレージと倉庫の予定をもう一度合わせるまでの時間だ。筆者はこれを「同期回復速度」と呼びたい。

 港への船の到着予定の精度は自社で制御できない。一方、変化や変更を把握した後の同期回復速度は、自社の業務設計によって改善できる。

 例えば、定型的な再予約や通知は自動化し、輸送手段や納期に関わる判断は人が担う。自動化は目的ではなく、限られた人と車両を本来の輸送へ振り向ける手段である。


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