2026年7月28日(火)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2026年7月28日

政策も、情報基盤から実行基盤へ

 通常、コンテナの搬入と搬出は別々の運行になりやすく、トラックは片道を空で走り、来場のたびにゲートへ一から並び直す。これを1回の入退場で済ませるのが「降ろし取り」だ。

 この運用が成り立つには、トラックがいつ来るかをターミナル側が事前に把握できることが前提となる。海外の主要港では、来場時間をあらかじめ指定する「ゲート予約制」がその役割を担っている。

 例えば世界有数のコンテナ取扱量を誇る中国・深圳の塩田ターミナルでは、2時間単位の搬出予約が運用され、運輸総合研究所の現地調査では実施率85%強と報告された。到着が読めるからこそターミナルは荷繰りを事前に準備でき、搬入と搬出を1回の来場で組み合わせられる。

 東京港Y2ターミナルの実データによるシミュレーションでは、降ろし取りの実施率を18%から28%へ高めた場合、月間の外来トラックを1584台、ヤード内滞留を79時間減らし、コンテナ1本当たりターンタイムを7.4%、二酸化炭素(CO2)排出量を5.8%削減できるとの試算だ。実績値ではないが、限られた車両を待機ではなく輸送に使う余地を示している。

 日本でも基盤の整備は始まっている。国土交通省が推進する「CONPAS」は、車両の来場予約と搬出入情報の事前共有によりゲート前の混雑を緩和する港湾情報システムで、一部の港・ターミナルで運用や実証が進む。貿易・港湾物流の手続や情報を電子化するデータ連携基盤「Cyber Port」も稼働している。

 ただし現状は、対象ターミナルや利用範囲が限られ、混雑情報の見える化や一部の予約受付にとどまっているのが実情だ。次の課題は、港湾情報を表示するだけで終わらせず、車両の来場、事前の荷繰り、倉庫バース、荷役機械や人員配置の変更へつなげ、予定を実際に組み替えられる「実行基盤」へ進むことである。

 港湾待機は、単なる現場の非効率ではない。残されたドレージ輸送力を消耗させ、運送会社の採算を圧迫し、港から貨物を運ぶ力をさらに弱める、重大な問題である。

 いま問われているのは、待機を仕方のないコストとして受け入れるのか、日本のサプライチェーンを支える有限の輸送能力を守るため、解決すべき問題として捉えて動くのか、である。

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