2026年8月18日(火)

プーチンのロシア

2026年8月18日

プーチン氏の思い描く勝利“得られない”

 そのような状況で、相次ぐウクライナ軍の攻撃でロシアの民間人が死亡しても、国際世論をロシア側にひきつけることは困難だ。目下の被害の拡大は、ロシア国内で反ウクライナ世論を高めることに一定程度は利用することができるものの、プーチン政権にとり不都合な部分が少なくない。

 22年2月に始まったロシアによる全面侵攻以降のロシア軍の死傷者数について、米戦略国際問題研究所(CSIS)は7月1日の発表で約140万人との推計を公表した。そのうち死者数は約40万~45万人規模としている。英政府通信本部(GCHQ)は5月に、ロシア軍の死者数が50万人を超えたとの分析を公表している。いずれにせよ、空前の規模になっている。

 ロシアの民間人被害の詳細を公表すれば、電撃作戦で即座にウクライナを屈服させる考えだった当初のプーチン政権の見通しの甘さがかえって鮮明になる。すでに、国内ではプーチン氏が思い描くような勝利を得られるとの見通しはしぼみ、国民の多くは戦争の終結を願っている。

反戦勢力を選挙から締め出し

 そのような世論の厭戦機運を封じ込めようと、政権は躍起になっている。ロシア最高裁判所は8月10日、9月に実施が予定される下院選挙での改革派野党「ヤブロコ」の候補者登録を取り消すことを決めた。

 同党はロシアによるウクライナ侵略に反対し、早期停戦を訴えていた。反政権派政党や候補者の選挙からの排除はロシアでは日常茶飯事だが、ロシアにおいて「反戦」を訴えることがすでに不可能になっている実態が鮮明になっている。

 当局にとって重要なのは、冒頭の海水浴客らへの被害に対して自治体当局が示したように、「事態はしっかりと掌握されている」とのメッセージを発信し、戦争を継続する政権に対しても批判の目が向かないようにすることにある。ただそのような政権のいうがままに戦争の現実に目を背け続ければ、自らの身も守ることができなくなるジレンマにロシア国民らは陥っている。

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