日本の将来を考える
通貨に信用を刻印する セントラルバンカーの10の提言 白川方明 日本経済新聞出版 3520円(税込)
元日銀総裁の白川方明氏による最新の一冊だ。「通貨の信用」とは、その国、その社会の「総合力」が反映されたものとする。他国の通貨に対して下落している「円」を考えると、我が国に対する世界的な評価も見えてくる。それでも、著者は失敗の経験から学ぶことが基本だと説き、逆に金融政策運営のサクセスストーリーは、その後の金融危機の一因ともなったと指摘する。そして、格差拡大、ポピュリズムの台頭、強力な政治リーダーの登場、SNSの発達などで、「時代の空気」が一方向に流れ、中央銀行もそれに抗することが難しくなるといった事態は、今後とも排除できないと、警鐘を鳴らす。
過去であり未来かもしれない
ハイパーインフレの悪夢 ドイツ「国家破綻の歴史」は警告する アダム・ファーガソン(著)、黒輪篤嗣(訳)、桐谷知未(訳)、池上 彰(解説) 新潮社 3520円(税込)
第一次世界大戦の敗北で莫大な賠償金を負ったドイツは、国債を大量に発行してドイツ帝国銀行に買い取らせ、資金を得た。当初は経済が活性化したかに見えたが、のちに歴史的なハイパーインフレとなっていく……。驚くのは、当時の人々は通貨の価値が下がっているとは考えず、モノの値段が変化していると考えたこと、また、農村の人々は比較的余裕があったことだ。コーヒーを飲む間にその価格が変わるようなインフレを起こさないために、過去を見て未来を学ぶ一冊。
国債の仕組みを学ぶ
はじめての日本国債 服部孝洋 集英社新書 1100円(税込)
一般には馴染みの薄い国債だが、実は我々の預金や保険料も銀行や生命保険会社を通じて国債に投資され、社会インフラを支えている。本書は、国債に関して身近な例も用いながら分かりやすく解説する。例えば、長期国債の金利リスクについて、携帯電話を毎年契約更新する場合と10年間の固定契約を結ぶ場合を想定し、市況の変化が携帯料金に与える影響を考えることで、「年限が長いほど金利リスクは大きくなる」国債の仕組みを分かりやすく示している。
