2026年10月2日(金)

「最後の暗黒大陸」物流の〝今〟

2026年10月2日

「最短ルート」が最適とは限らない

 まず、運ぶコストである。

 アジアと欧州を結ぶコンテナ輸送では、紅海からスエズ運河を抜ける航路が最短だ。喜望峰を回れば日数が延び、燃料消費も増える。船が一航海に拘束される時間が長くなれば、同じ船隊で運べる量も減る。

 納期を守るための在庫や代替輸送の費用が生じ、遅れた荷物を航空便に振り替えることもある。迂回は航海日数だけでなく、調達から納入までの総コストを押し上げる。

 原油タンカーの用船市況にも、その影響が表れている。バルチック海運取引所の9月25日付週報では、ペルシャ湾―中国のVLCC(TD3C)の往復航海ベースTCE(日額換算収益)は約124万ドルだった。開戦前の1月下旬(約11万ドル)の約11倍に当たる。オマーン湾―中国(TD34)も約86万ドルで、8月上旬(約15万ドル)の約6倍だ。

 いずれも市場指標から算出した値で、個別の成約運賃や荷主の支払額を示すものではない。上昇には、利用できる船腹の減少や船主が求めるリスクの上乗せが表れている。戦争危険保険料などは、契約に応じて別途、荷主の総コストに加わる。

 荷主企業が負担する物流費は基本運賃だけではない。燃料調整金や臨時サーチャージ、港湾混雑に伴う費用なども、契約や運航状況に応じて加わる。

 スポット契約では市況が表れやすく、長期契約では料金改定の時期や燃料条項によって影響が遅れて出る。原油価格が下がっても、輸送費がすぐ同じ幅で下がるとは限らない。


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