2026年10月20日(火)

トランプ2.0

2026年10月20日

 この州名を即答できなかったことに、記者たちは裏取りの動きを強め、14日、ウォールストリートジャーナル紙が「ホワイトハウス広報官のケイティ・ザカリアは司法試験に受からなかった」と報じた。精査の結果、ペパーダイン大学法科大学院を卒業したもののカリフォルニア州の司法試験を受けて不合格だったという事実が確認されたのだった。明らかな経歴詐称と言えた。何よりまずかったのは、トランプも彼女の経歴を信じ、指名時に「法科大学院を優秀な成績で卒業した弁護士」として紹介していたことであった。

評価を分けた共和党系メディアへの出演

 彼女の命運は尽きかけていたが、まだ終わりではなかった。翌15日午後から、ザカリアは立て続けに共和党系メディアに登場した。ダメージコントロールの機会が与えられたように見えた。

 最初は、保守系チャンネルのリアル・アメリカズ・ボイスのジャック・ポソビエックの番組に登場した。弁護士資格については問わないわけにはいかなかったが、ザカリアは、弁護士資格はないが、法律の学位はもっているので法律家と名乗るのは間違いではないと苦しい言い訳をした。

 ポソビエックは最初からザカリアに好意的で、彼女に自由に話させた。鮮やかな赤いワンピースに身を包んだザカリアは、自分が如何に忙しく、そのために弁護士資格を取得する機会がなかったかことを長々と説明した。

 法科大学院在学中に教授に北京在住の息子を紹介されたこと、結婚することになり、卒業するとすぐに北京へ向かわないといけなかったこと、北京では法律関係の仕事をしたことなど弁明を続けた。また、米国帰国後司法試験を受けなかった理由を聞かれると、帰国後すぐに子供が生まれ、その後、計4人の子供が生まれて子育てに追われたことなどを語った。

 司会もコメンテーターもザカリアに優しく、インタビューは常に温かい雰囲気に包まれていた。この番組だけ見ていると、4人も子供を育てつつ頑張って仕事をしている女性として見えた。

 ところが、その後出演したFOX系の番組ではそうはいかなかった。その日の夜にはトランプ政権に好意的なFOXニュースの番組ハニティ・ショーに出演した。

 ホストのショーン・ハニティは、トランプと極めて近い関係で、政治的顧問と言われるほどである。ザカリアはリアル・アメリカズ・ボイスと同じ扱いを期待していただろう。ところがハニティは、「司法試験に受かってないのは本当か」と切り出し、その後もしつこく司法試験について「2回目も受けたのか」と彼女が答えるまで厳しく追及した。

 彼女は、北京に行ったことなど自分の人生についてリアル・アメリカズ・ボイスの時と同様に語った。しかし、反応は全く異なっていた。同情的な雰囲気はまったくなく、弁護士と法律家の違いについて長々と説明するつもりか、などとハニティから厳しい質問が浴びせかけられた。

 なぜ初めての記者会見で3人からしか質問を受け付けなかったのかなどとハニティが質問する中、終わりの音楽が流れだし、ザカリアがまごまごしているうちに、「新しい職での幸運を祈ります。本日は出演ありがとう」と言って、ハニティは番組を打ち切ってしまった。最後の部分ではイライラするハニティがペンをカチカチする音をマイクが拾っていた。

トランプからも三行半

 翌朝の番組FOX & FRIENDSにもザカリアには出演の機会が与えられた。彼女は一生懸命「アメリカは大統領を愛していて大統領は情熱に満ちている」と大統領を称賛したが、コメンテーターは「司法試験に受かっていなかったことを大統領に話しておくべきだった」など冷たい対応に終始した。

 この二つのFOXの番組がザカリアを冷たく扱っていたことに、他のメディアでは、FOXで共和党関係者が酷評されるのを見たのは久しぶりとコメントするほどであった。CNNのコメンテーターは、興奮気味に「FOXが彼女を葬った」と語った。いつもは政権寄りのFOXの対応に、インフルエンサーの中には、トランプとハニティが事前に話を合わせて、トランプがザカリアを切りやすくした、という陰謀論まで飛び出した。


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