核兵器製造を求める声が強まる一方、ウラン濃縮など核関連施設の破壊、核科学者の殺害などそれに向けた課題も明確に存在する。米国とイスラエルは、イランの核関連組織に深く浸透しており、核兵器を製造しようとしても、その前に探知され、攻撃を受ける可能性がある。そのため、イランは、当面の間は、核計画を抑えることで対応することも考慮している。
イランは、本年、米国に対して、制裁解除と引き換えにウラン濃縮の10年間の凍結を提案した。ホルムズ海峡を抑えていることでリスクが少なく十分な抑止となっているとの見方もある。
イスラエルの国家安全保障研究所は、イランが核兵器製造に向かうことへの疑問を呈している。イランが核に関わる迅速な決定を行うための指揮運用体制、核施設への攻撃を避けるための通常戦力による抑止能力、ミサイルに搭載可能な核弾頭などを欠いていることから、核保有に向けて進むかについては懐疑的な見方をとっている。
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イランが狙う「一挙両得」
イランにおいて核政策を見直す議論が活発になっているとの解説記事である。この解説記事では、いわゆる核の敷居政策という表現が用いられているが、「核の寸止め」戦略と呼んだほうが直感的に分かりやすいだろう。要は、核兵器を持つ一歩手前で止まり、いつでも核保有に転じることができるようにするという戦略である。
この戦略をとっている背景・理由としては、非核兵器国に止まる利点と核保有国に近づく利点の二つが意識されてきたのではないかと考えられる。「敷居」を踏み越えて、核保有国になれば、国際社会から「のけ者国家」として扱われ、制裁や武力行使の対象となるが、非核兵器国で止まることでそうしたリスクを避けることができる。
その一方、実体的には、自分の考え次第でいつでも核保有に転じることができる能力を持つことで、安全保障上の立場を強めことができる。そうした意味で、「一挙両得」を狙ったものと想像される。
一方、この解説記事が指摘するように、そうした「一挙両得」は成立してない。実際には、イランは核の「敷居」を踏み越えていないにもかかわらず、制裁の対象となっており、昨年6月の「十二日間戦争」、本年2月以来の米国、イスラエルの軍事行動によって、武力行使の対象とされた。
核能力の方は、高濃縮ウランは蓄積したものの、核関連施設が攻撃を受けたこともあり、「寸止め」どころか、核兵器製造からは遠ざかってしまった状況と考えられる。
