2026年10月26日(月)

Wedge REPORT

2026年10月26日

 27年3月にスペインのバルセロナで開かれる携帯見本市「MWC(モバイル・ワールド・コングレス)」で「Edge Twin」のPOC(概念検証)を発表する計画で、5GAAのフラメント氏は「Edge Twinが実現すれば、ドライバーの運転支援技術が中心だった時代から、AIが自動車の運行を自律的に制御できる新しい時代に入る」と指摘する。街中の信号やクルマ、ヒトなどの情報を一瞬で把握し判断するにはクルマのセンサー情報と道路情報をIOWNで瞬時に結びつける必要があるというわけだ。

 NTTが19年に発表した「IOWN構想」は超高速ネットワークのAPNだけでなく、デジタルツインの構築とそうした技術環境を実現する情報通信基盤の「コグニティブ・ファウンデーション」の3つの要素から成り立っている。その意味ではモビリティ分野のデジタルツイン計画はIOWN構想が当初目指したデジタルツインを実現する先例となるだけに、構想が大きく前進したことを意味する。

銅鉱山の操業や安全対策をAPNで支援

 フィジカルAIの分野ではチリの国営銅公社、Codelco(コデルコ)が運営する銅鉱山でNTTグループがIOWNによる重機の遠隔運用の実証を始めた事例が発表された。コデルコが持つ銅鉱山や監視拠点、データセンターとの間をIOWNのAPNで結んで安全に操業できるようにし、事故などの場合もすぐに対応できるようにする。拠点間は最大で約1500キロメートル離れているが、超低遅延のAPNなら監視者が現場にいるのと同じようなスピードで対応が可能になるという。

 IOWN Global Forumには現在、世界から約180社・団体が参加しているが、会長を務める川添雄彦NTTチーフエグゼクティブフェローは「IOWNのこれまでのユースケースは金融データセンターの遠隔配置や放送コンテンツのリモート制作などネットワーク分野での利用が主だったが、新たにモビリティやマイニング(鉱業)、農業など、AIと現実世界をつなぐ新しいフェーズに入った」と指摘する。

IOWN Global Forum会長の川添NTTチーフエグゼクティブフェロー

 フォーラムの年次総会や中間会議は主要メンバーが参加者を自国に招き、ホストする例が多かったが、今回の中間会議ではそういった企業の存在は見当たらなかった。しかし次世代ネットワークを研究するアイルランドの研究組織「CONNECT Centre(コネクトセンター)」や、オランダに拠点を置くデータセンター向け光通信技術会社、Astrape Networks(アストラぺ・ネットワークス)が会場で展示ブースを構えるなど、欧州の新たな企業や団体が参加していたのが印象的だった。オランダに本社を置く医療機器大手、フィリップスにもフォーラムの幹部が医療機器分野へのIOWN活用を提案しに行くなど、IOWNの活用が欧州で広い分野へ広がろうとしている。

 スウェーデンの通信機器大手、エリクソンの光技術の専門家、ステファン・レサー氏も「ソブリンAIの構築気運が欧州のデータセンター需要を押し上げている。その意味ではソブリンAIの構築に役立つIOWNに対する期待は極めて高い」と指摘する。

 IOWN Global Forumの活動は今年で7年目を迎えるが、コロナ禍でのネットワーク需要の高まりや、生成AIの登場による高速通信技術や低消費電力技術へのニーズの拡大、そしてサイバー攻撃の拡大に伴う安全な情報通信基盤を求める動きがIOWNを広めて行く強力な追い風になっているといえそうだ。

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