2026年11月9日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年11月9日

 習とプーチンが、米国の利益と影響力を損なうために協力している現状を考えれば、なおさらである。世界を勢力圏に分割するような新たな「三頭政治」が生まれれば、信頼できる同盟国としての米国の国際的な信用は失墜する。

 北大西洋条約機構(NATO)から日本、韓国、豪州に至る米国の同盟網は、脅威が深刻化する前に侵略を抑止し、平和を維持する役割を果たしている。ウクライナに対して強要される和平は、NATOを分裂させるだけでなく、米国の太平洋地域の同盟国に対し、「米国は危険な友人である」というメッセージを送ることになる。

 中国との同盟に対する期待も、慎むべきである。トランプは中国から「イランを支援しない」という約束を取り付けたいのだろうが、習近平にとっては台湾の獲得が戦略上の悲願で、彼はトランプとの対話の機会を捉え米国を太平洋から追い出そうとするだろう。

 トランプは、会談の焦点は「非核化」になると述べている。中国の急速な核戦力増強の事実を認めさせるのは結構なことだ。しかし、中国は米国と対等な立場に立つまでは、核問題について話し合わないだろう。

 米国民は、中国やロシアが米国の友人ではないことを理解しており、海外で迫りくる脅威の兆候を見抜く力も持っている。共和党の議員たちは、トランプがプーチンに融和的な態度をとっていることに不満を抱いている。

 欧州をロシアに、太平洋を中国に明け渡すようなことがあれば、共和党内に大きな亀裂が生じるだろう。「ヤルタ会談2」はトランプ政権2期目の最悪の構想と言える。

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「米中露三カ国首脳会談」の実現性

 11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に「米中露三カ国首脳会談」を実施する事は、本年7月頃からロシアのメディアで言われ、8月末の上海協力機構首脳会議の際には、プーチンが習近平に打診したとの報道がなされた。最近では10月9日、プーチンがトランプとの電話会談で同会談の実施を提案したことが同19日に明らかになり、その際トランプは「習近平氏が望むなら、私は会談する」と述べた。しかし、米中露三カ国首脳会談において、具体的成果を得られる共通の議題を見出すことは難しい。

 まず、プーチンは、ウクライナ戦争をプーチン路線で終結させたいだろうが、トランプは少なくとも現時点において、この「三首脳会談」でウクライナ戦争を議論することには消極的態度である。とはいえ、トランプを説得することは可能だ。


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