八、日常にも商機
仕事帰りのサラリーマンが集う、新宿駅西口近くにある「思い出横丁」。客が10人入ればいっぱいになるような居酒屋が軒を連ね、焼き鳥の香ばしい匂いが食欲をそそる場所だが、日本人に交じってカメラを手にして歩き回る中国人観光客の姿がチラホラみられる。中国人の友人を何度か観光案内したことのあるジャーナリストの有本香氏は「日本の文化にも溶け込みたいようで、『居酒屋に連れて行ってくれ』と頼まれる」と語る。何気ない日常のワンシーンにも消費対象は潜んでいるようだ。
また、若い女性を中心に最近、デパ地下でケーキを買い込んで夜ホテルで食べるというパターンが見られるようだ。品揃え豊富であれこれ見比べる楽しみもあり、何よりも「信じられないくらいおいしい」(旅行業界関係者)というのが専らの評判だ。
こうしてみると、何も中国人セレブは高級品だけに関心があるのではないことがわかる。ジャーナリストの莫邦富氏も「日本人が売りたいものを売りつけるだけではダメ。中国人が消費する必然性がないといけない」と指摘するように、セレブの深層心理にいかに迫れるかが課題である。
◆「WEDGE」2009年7月号では、この8カ条のほか、萌芽がみられるVIP向けビジネス最前線、歓迎一色とは言い切れない行政や旅行業界の事情、中国人セレブマネーを狙う世界各国の動向など、より多面的に特集しています。ぜひご覧ください。
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