World Energy Watch

2014年9月16日

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 これから有望とされる洋上風力設備の世界シェアの80%以上は、ドイツのシーメンスが持っており、残りも欧州メーカだ。洋上風力から電気を地上に送る直流高圧の世界のシェアの80%はABBなど欧州の3社が持っている。

 米国政府の援助により、トウモロコシの廃棄物を原料にバイオディーゼルを製造する商業プラントが、製造を開始した。年間の生産量は2500万ガロン(約10万キロリットル)だ。

 太陽光パネルの生産量では、中国メーカが世界を圧倒している。日本企業の20倍以上の生産量だ。日本企業が余剰資金を研究開発投資に使わずに返済に充てている間にも、欧米、新興国の技術開発は進んでいたということだ。エネルギーの分野でも随分多くの技術が開発された。

 水野は、エネルギーコストの上昇を懸念し、「シェール革命はたかだか100年の話」としているが、それでは21世紀のジェボンズになる。100年あれば、エネルギー関係の新技術が多く開発され、化石燃料依存はなくなるだろう。電気自動車、水素自動車が主になり、発電も原子力と再生可能エネルギーになるだろう。化石燃料の使用は激減するに違いない。

経済成長はできないのか、不要なのか?

 欧州がリーマンショック後の不況から立ち直り始めたところで、ロシアの地政学の問題により景気が再度低迷し始めた。しかし、景気低迷の状態を資本主義の終焉と呼ぶのは無茶だ。16世紀と21世紀に似通った点がいくつかあるから、資本主義の終焉というのもこじつけに近い。人口も、産業も、エネルギーも、制度もなにもかも16世紀とは異なる。歴史に学ぶことは重要だ。しかし、16世紀の新世界発見と、今の市場を同一視し、資本主義には地理的な周辺、辺境が必要と言われると、一体いつの話をしているのかと首を捻らざるを得ない。

 世界には自給自足経済を中心とし一日1ドル以下で生活している人が10億人以上いる。2ドル以下となると25億人、3人に1人だ。この人達の生活を向上させる必要がある。世界には辺境がもうなく、経済成長は不要というのは、持てる人の理論ではないか。

 水野は朝日新聞記者・近藤康太郎との対談『成長のない社会でわたしたちはいかに生きていくべきか』(徳間書店)のなかで、「デジカメが3台あり、もう要らない」と発言しているが、世界にはデジカメどころか十分な食料を買えない人が多くいることを考えるべきだ。5,6年前のことだが、インドに滞在している時に読んだローカル紙に、「生まれてから一度も満腹感を味わったことがない人の比率がインドでは約8割」とのアンケート結果があり、愕然としたことがある。

 私たちは、まだ経済成長を必要とする社会に住んでいる。気候変動、エネルギー・環境問題を考えながら、持続可能な発展を求めるべきだ。市場が格差を拡大しているのであれば、再配分政策を通し是正を図るのが資本主義の政策ではないのか。中国の過剰設備、歴史を理由に資本主義の終焉を主張し、脱経済成長を主張するのが正しいとは思えない。

 日本も欧米諸国に負けない技術開発に力を入れ、再度製造業を中心とした経済成長を図る一方、非製造業の生産性向上を考えるべきだ。蓄電装置、原子力、バイオ燃料、水素自動車など、これからの技術はエネルギー分野にも多くある。

[特集]日本のエネルギー政策を考える

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