World Energy Watch

2014年9月16日

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 常識で考えても、企業が利潤ゼロの投資を行う筈はない。仮に投資を行う企業がなくなれば、水野が懸念する過剰生産設備はあっという間に解消する。金利ゼロを利潤ゼロとし、資本主義の終焉に結び付けるのは無理だ。

中国の影響を受け日本だけデフレに?

 速水優元日銀総裁は、デフレはグローバル化によるものと在任中に述べたことがある。総裁がそう考えていたのであれば、金融緩和が十分に行われずデフレが悪化したのも理解できるが、水野も速水元総裁と同じく、グローバル化の影響を受けデフレが進むという立場だ。

 日本だけ世界に先駆けデフレになったのは、過剰な生産設備を作り出した中国の影響をいち早く受けたからだと主張している。日本の貿易相手国として2007年から中国は米国に代わり1位になったから、この主張は正しいと思った人も多いかもしれない。しかし、世界には日本よりもっと中国の影響を受けている国は多くある。表はいくつかの国の国内総生産(GDP)と中国からの輸入額の比率を示したものだ。韓国、ハンガリーなどは歴史的にも中国からの輸入比率が高いが、デフレにはなっていない。日本だけがデフレになった理由はグローバル化ではないし、世界は生産過剰、需要不足とも言えない。そもそも、中央、地方政府の影響により多くの投資が行われる中国経済は、水野が終焉するという資本主義に含まれるのだろうか。

 日本がデフレになったのは、財政政策、金融政策を誤ったことに加え、過去20年間の資源配分が適切な形ではなく、産業構造がデフレを引き起こすように変化したことだ。『「里山資本主義」では持続可能な社会をつくれない』でも簡単に説明したが、一人当たり付加価値額の高い分野から低い分野への労働人口の移動があったことに加え、生産性の向上が実現しなかったことが、付加価値額、即ちGDPの低下を引き起こし、消費、即ち需要不足を引き起こしたということだ。

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