――タブレットはあくまでも道具、ツールで、どう使いこなすかということが重要ですね。
赤堀:まさにそこがポイントです。本書は学習の話にとどまらず、モラルの観点にも触れたかった。デジタルをめぐる問題が起きると、道具が悪いという風潮になりがちですが、それは本質が見えていないと思うのです。道具は薬にも毒にもなる、デジタルには光と陰の両面存在する―。その意味で、情報を正しく扱う能力が求められます。
私自身感じるのは、賢い子はやはりタブレットやスマートフォンとのつき合い方が上手い。振り回されてしまわないよう、家庭、学校で情報活用能力、情報リテラシーの育成が必要でしょう。
教育、子育てというのはどうしても「聖域」として扱われがちです。それ故、新しいものを排除したがる傾向があります。もちろんタブレットが万能とは言いません、「陰」の側面を理解したうえで、うまく取り入れれば、学習に良い影響がもたらされるのですから。
――本書をどんな人に読んでもらいたいですか。
赤堀:現場の先生や先生を目指している学生はもちろん、ぜひ一般の方々にも読んでいただきたいと思います。タブレットの使い方は家庭での教育も非常に重要です。
「教育」は、自分の経験に収斂しがちです。ですから、今学校現場で何が起きているのか、本書を通じてぜひ知っていただきたいと思います。
赤堀侃司(あかほり・かんじ)
1944年広島県呉市生まれ、東京工業大学大学院終了後、静岡県高等学校教諭、東京学芸大学講師・助教授、東京工業大学助教授・教授、を経て、白鷗大学教育学部長・教授(2014年度まで)、東京工業大学名誉教授、日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)会長、教育テスト研究センター(CRET)理事、工学博士。
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