「キャプテン・クック」の名で知られるイギリスの海洋探検家、ジェームズ・クック。太平洋への3回の探検航海で行われた数々の調査には、植物の採集や研究も含まれていた。そんな一面に注目した展覧会が開かれる。
展示の中心は、『バンクス花譜集』に収められたエキゾチックな花々の銅版画。1768年から3年にわたる第1回太平洋航海に同行した植物学者、ジョゼフ・バンクスが企画した植物図鑑のために制作された、全743点の植物画のうち120点が会場を飾る。
銅版画のほかに、当時の航海に使われた道具や古地図なども紹介。ソサエティ・アイランズ、ニュージーランド、オーストラリア、ジャワへと、航路に沿って並ぶ展示から、航海の様子を窺(うかが)い知ることができる。
『バンクス花譜集』の半数近くを占めるのがオーストラリアの植物で、バンクスの名を冠した「バンクシア・セラータ」は、完成度の高い作品のひとつだ。バンクスとともに調査に加わり、銅版画のもとの絵を描いた画家、シドニー・パーキンソンは、寄港地のバタヴィア(現在のジャカルタ)でマラリアに罹患し、命を落とした。まさに命がけの航海だっただけに、未知の植物発見にかけたバンクスの情熱が偲ばれる。
キャプテン・クック探検航海と『バンクス花譜集』展
<期間>12月23日~3月1日
<会場>東京都渋谷区・Bunkamura ザ・ミュージアム(山手線渋谷駅下車)
<問>☎03(5777)8600
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_banks.html
*情報は2014年10月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください
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