2024年11月23日(土)

解体 ロシア外交

2015年1月13日

 同同盟は、ロシア、カザフスタン、ベラルーシから成る「関税同盟」を基盤に、関税の免除のみならず、ヒト、モノ、サービス、資本の自由な移動を段階的に進め、その後、金融、通貨、エネルギーなどより広い領域での共通政策を実施していく予定となっている。そして、域外からの輸入に×関税を一定比率で加盟国に配分するが、その比率はロシア約87%、カザフスタン約7%、ベラルーシ約5%、アルメニア約1%となっており、経済規模が大きいロシアが加盟国に貿易収入の一部を分け与える形だ。だが、上述の通り、ロシア経済は火の車であり、この仕組みがロシアを更に苦しめることにもなりそうだ。

 他方、ベラルーシ、カザフスタン両首脳は同同盟の発足への不満、警戒心を隠さない。ルカシェンコ大統領は12月に「自由なモノの移動はまだ実現していない」として、関税同盟がいまだ不十分であることと経済同盟が見切り発車であることに不満を表明した。また、カザフスタンのナザルバエフ大統領は「経済同盟は国家の主権を損なわない」と幾度となく主張し、ロシアに政治的に飲み込まれることを警戒している。

高支持率でも2015年は試練の年

 このようにロシア経済は混迷しているが、プーチン大統領は威信をかけてクリミアへの支援や極東や北極圏の開発からは手を引かず、またユーラシア経済同盟も発足させてしまった。石油価格や為替の回復は当面望めず、また制裁も続いている中ではロシアの経済は当面、大変厳しいものとなることは間違いない。上述の通り、プーチンは厳しい状況は2年続く可能性があるとしているものの、ロシアが2年「もつのか」という皮肉めいた議論すらでている。

 ただ、現在のプーチンにとっての唯一の支えは、国民の支持率が現在も高いことである。

 だが、今後、もっと経済状況が厳しくなり、国民の生活が逼迫するようになると、市民はまた抗議デモに繰り出すだろう。そのときに、ウクライナの二の舞にならない可能性は否めない。

 今後のプーチンの経済の舵取りが、そのままプーチンの政治人生の命運を決めて行くことになるだろう。

  
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