テレビのニュースには拾われないかもしれないけれど、ネットの一部で盛り上がったあの話題。知りたい人へお届けします。
ネットがもたらす「電縁社会」
平成21年に総務省が発表した「情報通信白書」に、「電縁」という言葉が出てくる。人が所属するコミュニティは家族や親戚から成り立つ「血縁」から始まり、学校や職場、近所付き合いから成り立つ「地縁」ができて、インターネットの発達によって遠く離れた人や面識のない人とつながる「電縁」ができると書かれている。総務省は情報技術の発達を活かし、ネットと現実(対面)の良いバランスで、「地縁」・「血縁」に「電縁」が重なる社会を提案した。
総務省 平成21年版 情報通信白書
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h21/summary/summary01.pdf
この発表から6年が経過したいま、確かにインターネットは発達して誰でも情報を発信し、つながれる時代になった。しかし、その「つながり」は6年前に国が目指した「電縁」と同じ座標にあると言えるのだろうか。「炎上」と呼ばれる現象が毎日のように起こり、まるでお互いを監視し合うかのように生きるSNS社会を「電縁」と呼ぶにふさわしいかどうかは、今のSNSの特徴を考えれば見えてくる。
「親密性」で分類するSNS
SNSで代表的なものといえばやはりFacebookやTwitterが挙げられるが、この2つのサービスを「親密性」という切り口で見ると、全く別の側面を持っていることがわかる。
Facebookは基本的に実名登録が推奨されている。気になる人の投稿を見るためには「友達」になる必要があり、「友達申請」が承認されない限りは「友達」になることはできない。承認さえしなければ「つながる範囲」を個人で制限することができるので、多くの人が「実際に会ったことのある人(+α)」という範囲で「友達」を構成している。それはどちらかというと従来の「血縁」「地縁」に近い、「親密性の高いメディア」という立ち位置になるが、面識のない人とはつながりづらい側面も持ち合わせていることになる。