2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月10日

 ここでは、北朝鮮がイニシアティブを握れる。オバマ政権は、これまでの交渉で武力行使の脅しを取り下げており、制裁もあまり効果をあげていないので、北朝鮮との終わりの無い円舞は、新たなサイクルに入ることになる、と論じています。

出典:Michael Auslin ‘New Sanctions Let Pyongyang Play the Victim’ (Wall Street Journal, January 5, 2015)
http://www.wsj.com/articles/michael-auslin-new-sanctions-let-pyongyang-play-the-victim-1420479937

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 オースリンの予測は常識的なものと言えます。1月7日、北朝鮮国防委員会政策局は、米国の追加制裁措置を非難する声明を発表し、全ての制裁の撤回を求めると共に、米国は北朝鮮が「未曾有の超強硬対応戦」に突入した状態であることを忘れてはならないと警告しています(中央日報)。

 一方で、1月1日の金正恩第一書記の「新年の辞」においては、南北関係について、「北と南が争うのではなく、力を合わせて統一の新たな道を切り開いて行くことは同胞の一様な願いである。北と南はこれ以上、無意味な争いや大したことでない問題によって時間と精力を無駄にしてはならず、北南関係の歴史を新たに書き綴っていくべきである」、「我が方は、南朝鮮当局が真に対話を通じて北南関係を改善する立場であれば、中断した高位級会談も再開することが出来ると考える」、「そして、雰囲気と環境が整うのに合わせて最高位会談も行うことが出来ない理由は無い」と述べています(ラヂオプレス)。

 北朝鮮としては、韓国との関係を改善することを通じて孤立状態からの脱出を目指す考えがあるのでしょう。但し、国際社会は、同様の手口で何度も騙されてきたので、そのような働きかけに簡単に乗ることはできないのが現状でしょう。

  
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