10月7日付の米National Interest誌のサイトで、J. Berkshire Miller米Pacific Forum CSIS日韓ワーキング・グループ座長が、金正恩体制が崩壊するような場合には、日米韓3カ国は、朝鮮半島と地域の安定を確保するために協力することが不可欠になる、と論じています。
すなわち、一時期、金正恩が公の場から姿を消したことがあったが、日米韓3カ国は、次に取るべき措置につき戦略を見直すべきである。実際、金政権が崩壊すれば、衝撃は北東アジア全体に及ぶので、3カ国は、朝鮮半島と地域の安全確保のために、政治的な不満を脇に置いて協力する他ない。
金政権の崩壊は、主要な権力者達の内部の派閥対立を抑えられない場合に起きる可能性が高い。米韓同盟と日本が必要とするのは危機対策である。最も重要なことは、北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)の開発、拡散を阻止することである。
日米韓3カ国は、北朝鮮のWMDとその運搬手段の拡散を防止するため、迅速な協同行動が執れるようにする必要がある。2003年に米国が始めた拡散安全保障イニシアティブ(PSI)には、50カ国以上が参加していて、日米韓3カ国はPSIの枠組みでも協力を進めなければならない。
金体制後の北朝鮮の政治的不安定は、日米韓3カ国の協力を不可避にするので、日韓の安全保障面での二国間協力の強化も緊要となる。日韓両国間では、物品役務相互提供協定(ACSA)と軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結が第一歩である。ACSAの締結により、朝鮮半島の危機が迫る際に、自衛隊が自国民を避難させることも可能になる。GSOMIAの締結は、北朝鮮のWMDやミサイル・システムに関する情報交換の基礎になる、と論じています。
*出典:J. Berkshire Miller‘Asia's Big What If: What Happens If Kim Jong-Un Is No More?’(National Interest, October 7, 2014)
http://nationalinterest.org/feature/asias-big-what-if-what-happens-if-kim-jong-un-no-more-11416?page=show
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上記論説は、金正恩が公の場から姿を消していたことが金体制の動揺の可能性を想起させたため、それを機に、朝鮮半島有事の際には、日本、米国、韓国の3カ国の安全保障面の協力が不可欠であり、日韓両国間の安全保障面の関係強化も必須であることを強調したものです。