徳川家の菩提寺として知られる増上寺に今春、宝物展示室がオープンする。展示の中心となるのが、2代将軍徳川秀忠の墓所、台徳院殿霊廟(たいとくいんでんれいびょう)を再現した模型だ。
増上寺=写真提供
Royal Collection Trust / ©Her Majesty Queen Elizabeth Ⅱ 2015
これは明治43年(1910)、ロンドンで開催された日英博覧会に出品の後、英国王室に贈呈されたもので、現在は英国ロイヤルコレクションのひとつ。このたび増上寺への長期貸与が実現し、100余年ぶりの里帰りを果たした。
台徳院殿霊廟は、寛永9年(1632)に3代将軍徳川家光が増上寺境内に建造。日光東照宮の原型ともなった壮麗な造りから国宝に指定されていたが、戦災で焼失。往時の姿を記録したモノクロ写真がわずかに残るのみだった。
霊廟の主要部分を10分の1のスケール(幅3.6メートル、奥行5.4メートル、高さ1.8メートル)で再現した台徳院殿霊廟模型には、漆や金具、建具、彫りなど、実物の建造物と同様に明治時代のトップレベルの職人の技術が凝縮されている。公開に先立ち約1年かけて修復され、本殿内部の金箔から、葵の御紋入りの飾り金具、龍や鳳凰(ほうおう)を描いた内陣の装飾まで、色鮮やかによみがえった。
なお、宝物展示室では、台徳院殿霊廟模型を常設展示するほか、狩野一信(かずのぶ)の「五百羅漢図」などの寺宝を順次公開する予定。
増上寺 宝物展示室オープン
<期間>4月2日
<会場>東京都港区・増上寺(山手線浜松町駅下車)
<問>03(3432)1431
http://www.zojoji.or.jp/treasure/exhibition.html
*情報は2015年2月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください
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