2024年7月23日(火)

WEDGE REPORT

2015年6月5日

 今回、軍事行動で協調している疑惑が濃厚になったことについて、ベイルートの情報筋は「アサド政権は生き残るためには悪魔とも手を結ぶだろう」と指摘している。

反政府勢力にアルカイダ系の「ヌスラ戦線」
支援に二の足を踏むオバマ政権

 アサド政権のこうしたなりふり構わぬ姿勢はそれだけ追い詰められていることの裏返しでもある。というのも、アレッポ県に隣接する北西部のイドリブ県が最近、「反政府連合」に制圧されるなど重要な支配地を失った。加えて中部パルミラをイスラム国に占領されて、同組織が国土の50%以上を支配するに至り、領土的に相当圧迫を受けていた。

 こうした状況に加え、この春から政権内部の亀裂が次々と露呈された。大統領の側近の1人、ラフィク・シェハデ軍情報部長が3月に解任されたのに続き、長年の忠臣だったルストム・ガザレ政治治安局長がライバルに殴られたことが原因で死亡した。

 さらに大統領のいとこで、ダマスカス県の治安責任者だったハフェズ・マクルーフ氏も昨年解任されて国外逃亡中だし、これまたいとこのムンゼル・アサド氏は4月、クーデターを企てたといううわさの中で拘束された。一連のこうした事態について「アサド政権終焉の始まり」(ベイルルート筋)という見方が強まっており、アサド大統領の危機感が高まっていたのである。

 「反政府連合」はアサド政権とイスラム国による共同軍事作戦を撃退するため、オバマ政権にアレッポに迫るイスラム国を空爆するよう要請しているが、米国は動こうとしていない。その理由は、この「反政府連合」に国際テロ組織アルカイダのシリア分派「ヌスラ戦線」が一員として加わっているためだ。テロ組織を利するような軍事行動はしないというのが米政権の考えだが、イスラム国がさらにアレッポに迫った時、座視するのかどうか。オバマ大統領が難しい決断を迫られる時は遠くない。

  
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